「みんな古い車名が好き」 最新EVに昔懐かしい車名 フォード・カプリ復活か

公開 : 2023.03.24 06:05

「つまらない」と言われて傷ついた

しかし、名称はよく知られていても、デザインはそうではない。エクスプローラーは、「アドベンチャラス・スピリット」の旗印のもとに構想された新しいデザイン言語の第一弾であり、内外装ともに、これまでのフォード車と直接関連するような要素はほとんどない。今後すべてのEVも同様のデザインアプローチを採用する予定だ。

同様に、新世代の「カプリ」はスポーツ性を強調しながらも、家族向けのコンパクトクロスオーバーとして背の高いモデルとなるだろう(2ドアの可能性は果たしてあるだろうか?)。パワートレインについては、同じMEBプラットフォームを共有するエクスプローラーと同様のものが採用されるはずだ。

欧州向けに販売する新型エクスプローラー
欧州向けに販売する新型エクスプローラー    フォード

リーナーツ氏は、電動化が始まったことで、1990年代後半の「ニューエッジ」以来となるデザイン改革の機会を得たと説明する。

「わたし達はまず、『お客様はわたし達をどう見ているのだろう』ということを調査し始めました。わたし自身、自分たちのブランドをポジティブに捉えすぎていると感じていたので、自分たちの本当の姿を確認する必要がありました。だから、お客様と一緒に仕事をするようになったのです」

「本当に傷ついたのは、『つまらない』と言われたことです。そこで、わたしはこの部分に取り組むことにしました。『明確に差別化された、誰も持っていないような独自の視点を持ったクルマのデザインを提案しなければならない』と考えたのです」

例えば、新型エクスプローラーが既存のプーマやクーガに似ていないのは、これまでにないフォードの「米国らしさ」を伝えるというコミットメントによるものであり、同時にフラットフロアでエンジンのないEV用プラットフォームがデザインに与える自由度が高いことを証明するものでもある。

「EV(のデザイン)言語は、自動的に簡略化されました。大胆なプロポーションやスタンス、よりシンプルな表現だけでなく、より高価で、よりプレミアムで、より親しみやすいと感じられるようにできるのです。そして、フォードはアグレッシブなクルマではなく、気軽に好きになれるクルマを目指しています」

「ワクワクするような製品を作りたい。本当に好かれるものを作りたい。そのためには美しい造形が必要で、目立つけれども、愛着がわくようなディテールが求められます」

EVデザインの落とし穴で、避けたいものはあるかと尋ねると、リーナーツ氏はこう答えた。「世の中には、ちょっと頑張りすぎて、最終的に家電のようなデザインになってしまう製品もあると思うんです。落とし穴は家電デザインですね。家電のように見えるのではなく、セクシーでなければなりません」

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

関連テーマ

おすすめ記事

 

フォードの人気画像