実現しなかったスーパーカー 45選 前編 文字通り「夢」に終わった幻のコンセプト

公開 : 2023.03.26 18:05

発売されなかったことが悔やまれる商品は自動車業界に数多く存在します。莫大な予算をかけて開発されたスーパーカーも例外ではありません。人々が夢見るクルマが、本当に夢のまま終わってしまった45の事例を紹介します。

世に出なかった幻のスーパーカーたち

自動車史を振り返ると、発売されなかったことが惜しまれるようなクルマが数多く存在する。資金不足で実現しなかったものもあれば、スタイリングやエンジニアリングの失敗で絶望的な状況に陥ったものもある。

今回は、「コンセプトカー」や「将来の市販車」として世間に披露されながらも、さまざまな理由で実現しなかったスーパーカーを集めてみた。全45台を前後編にわけて、年代順に紹介していこう。

さまざまな理由から量産化に至らなかったスーパーカーを45台紹介する。
さまざまな理由から量産化に至らなかったスーパーカーを45台紹介する。

ジャガーXJ13(1966年)

もし状況が1つでも変わっていたら、ランボルギーニ・ミウラではなく、ジャガーXJ13が世界初のミドエンジン・スーパーカーになっていたかもしれない。1960年代初頭、新型のレーシングカー(おそらく市販もされただろう)として計画が立てられたが、ようやく1台が完成したのは1966年で、その時点ではもう、ル・マン24時間レースで1969年まで毎年優勝していたフォードGT40に勝つことは難しかったかもしれない。

プロジェクトは棚上げされ、5.0L V12エンジンを搭載したXJ13は、1971年の撮影中に大クラッシュするまで、数回の高速走行しかやり遂げることができなかった。その後、再建された車両は、英ゲイドンのブリティッシュ・モーター・ミュージアムに現存し、「あったかもしれない未来」を思い起こさせてくれる。

ジャガーXJ13(1966年)
ジャガーXJ13(1966年)

ヴォグゾールXVR(1966年)

4気筒のヴォグゾール車をスーパーカーと考えるのは奇妙な感じがするが、XVRは特別な存在だ。クラムシェル型のボンネット、リアヒンジのテール、そして上向きに開く2枚のドアを備えた2シーター・クーペだ。

注目すべきはドアの開閉機構で、ガラスはサイドウィンドウとフロントガラスを兼ねた特殊な構造となっている。この複雑なドアがどのように開くかはぜひ各々で確認してほしい。技術者たちは、もう少しオーソドックスなガルウィング式にするよう働きかけたが、デザイン部門から却下されたそうだ。

ヴォグゾールXVR(1966年)
ヴォグゾールXVR(1966年)

画像の車両は、3台作られたうち唯一実際に走ったもので、通常はヴォグゾールのスラント4エンジンを搭載するが、1966年のジュネーブ・モーターショーでのデビュー時には小型のエンジンが搭載された。残念ながらカナダでの展示中に破損してしまい、解体されることになった。その後、2台のファイバーグラス製ボディの車両が残されたが、片方はメーカーの方針で解体された。もう片方は現存し、ヴォクスホール・ヘリテージ・コレクションに収蔵されている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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