ティグアンやQ3とも遜色なし! 日産キャシュカイ(旧デュアリス)へ試乗 家族層へ確かに「響く」

公開 : 2024.07.08 19:05

3代目の日産キャシュカイがアップデート 上質感が漂うインテリア グーグルの技術をインフォテインメントへ採用 ベストは189psのe-パワー 乗り心地は良好 英編集部が評価

セグメントリーダーとしてのアップデート

日産キャシュカイは、グレートブリテン島北東部のサンダーランド工場で生産され、英国では前例ないほどの成功を築いてきた。2022年には最も売れたクルマに輝き、2023年もフォード・プーマへ僅差で次ぐ2位を掴んでいる。

2006年に登場した初代は、ゲームチェンジャーといえるインパクトがあった。この1台が、日産の欧州事業を救ったも同然だった。現在のクロスオーバー人気を生み出す、先駆けの1台にもなった。

日産キャシュカイ 1.3DiG-T 158テクナ(欧州仕様)
日産キャシュカイ 1.3DiG-T 158テクナ(欧州仕様)

3代目は2021年に発売されたが、人気再燃を狙いアップデートが施された。「セグメントリーダーとしてのポジション強化」を同社は主張し、要所へ手が加えられている。

基礎骨格は、ルノー・日産・三菱アライアンスによるCMF-Cプラットフォーム。サスペンションは、前輪駆動ではリアがトーションビーム式だが、四輪駆動ではマルチリンク式になる。

設定されるパワートレインは、4気筒マイルド・ハイブリッドと、3気筒フル・ハイブリッドのe-パワーという2択。最高出力で見ると、前者が140psか157ps、後者が189psの3段階になる。

マイルド・ハイブリッドは控えめな内容で、システム電圧は12V。アシスト量は0.5kg-mと小さく、トルクを補うというより、滑らかな発進加速を得るために働くと考えていい。トランスミッションは、6速マニュアルが標準。CVTがオプションで用意される。

e-パワーは1.5Lエンジンが発電し、189psの駆動用モーターがキャシュカイを動かすシステム。実用性の高いガソリンエンジンと、バッテリーEVのような滑らかさを両立させている。

上質感が漂うインテリア グーグルの技術を採用

アップデートで、フロントマスクは一新。アグレッシブでシャープな顔つきになった。ヘッドライトも新しく、日産によると、日本の甲冑へ影響を受けたデザインだそうだ。ボディサイズは変わらず、全長4425mm、全幅1838mm、全高1635mmとなる。

インテリアの製造品質は高い。アルカンターラでダッシュボードやドアパネル、センターコンソールなどが覆われ、上質感が漂う。ただし、シートは合成皮革で包まれ、グローブボックスの化粧トリムも高級というわけではない。

日産キャシュカイ 1.3DiG-T 158テクナ(欧州仕様)
日産キャシュカイ 1.3DiG-T 158テクナ(欧州仕様)

今回のアップデートで注力されたのが、インフォテインメント・システム。タッチモニターの応答性は早くなり、メニューの操作性も良く、グラフィックも綺麗になった。グーグル社の技術を実装し、同社のマップと音声アシスタントを利用できる。

エアコンには実際に押せるハードボタンが残り、温度調整などは簡単。スマートフォンのワイヤレス充電パッドや、USB-Cポート、小物入れなども充実している。

駐車時に役立つ、クルマを俯瞰して見れるアラウンドビュー・モニター機能も備わる。インビジブルフード・ビュー・モードでは、フロントタイヤ直後からの視線で周囲を確認できる。

フロントシートは座り心地が良く、調整域が広く、腰回りや横方向のサポート性に優れる。フラットなボンネットで、前方の視界も良好だ。リアシートは、大人にも充分な広さ。広々というわけではないが、このクラスの平均といっていい。荷室容量は479Lだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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