500万円弱のセレナ 「ルキシオン」 選ぶ価値は? プロパイロット2.0がキー

公開 : 2023.06.12 17:15

日産セレナeパワー「ルキシオン」を選ぶ価値はあるのか? 工藤貴宏がジャッジ。

eパワー=セレナを買う理由

新型日産セレナのeパワーに、ライバルに対するアドバンテージはあるのか?

結論をいえば、それは明確にある。eパワーはライバルではなくセレナを買う理由になり得るというのが筆者の考えだ。

日産セレナeパワー「ルキシオン」
日産セレナeパワー「ルキシオン」

eパワーとはハイブリッドシステムの日産の呼び名で、一般的なシステム名称でいえば「シリーズハイブリッド」となる。ハイブリッドだからエンジンは積むが、それは発電するための存在であり機械的に駆動力を生むことはない。駆動力はすべてモーターが生み出すのだ。

駆動力はすべて電気で発生させる。それがエンジンとモーター(電気)を効率よくミックスして活用する「ノア」や「ヴォクシー」のトヨタ式、そして低中速領域ではモーター駆動を中心とするが高速域ではエンジンの動力も伝える「ステップワゴン」のホンダ式とも異なる部分である。

ライバル車種のハイブリッドでも、仕掛けは三者三様なのだ。

日本における日産の基幹車種といえるセレナがモデルチェンジするにあたり、eパワーのシステムは刷新された。搭載する「HR14DDe」エンジンは新設計で、日産でもはじめてとなる発電専用エンジンだ。

排気量アップで出力を高めつつ効率改善で燃費をよくしているのもトピックだが、なにより注目すべきは快適性へのこだわりだと感じた。

さらなる滑らかさや静けさ

3気筒エンジンは回転バランス上振動が大きくなりがちだが、HR4DDeエンジンでは新たに一次バランサーシャフトを追加したことで、慣性力で振動を打ち消して滑らかさを実現。

クランクシャフトの曲げ共振を分散させる「フレキシブル・フライホイール」も搭載し、それも振動低減に貢献している。

刷新されたeパワーのシステム。HR14DDe」エンジンは新設計で、新たに一次バランサーシャフトを追加。「フレキシブル・フライホイール」も搭載する。
刷新されたeパワーのシステム。HR14DDe」エンジンは新設計で、新たに一次バランサーシャフトを追加。「フレキシブル・フライホイール」も搭載する。

セレナのeパワーモデルの走りは、従来からスムーズで静か、つまり快適だった。しかし新型は、さらなる滑らかさや静けさを手に入れた。これはドライバーにも乗員にも感じられる、大きな進化ポイントだ。

しかし、ライバルに対するアドバンテージはそれだけではない。セレナのハイブリッドはドライバビリティでライバルの上を行くのだ。

たとえば燃費性能で大きくセレナをリードするノア&ヴォクシーのハイブリッドは、新型になりかなり向上したとはいえ、アクセル操作に対するダイレクト感でセレナeパワーに届いていない。

ステップワゴン「e:HEV」の爽快感もいい感じだが、それでもバッテリー残量が十分あればアクセルを踏み込んだ際にはライバル以上にグイグイ加速するセレナのほうが上を行く。運転する楽しさはセレナeパワーが明らかにライバルを超えている。

さて、そんなセレナeパワーには、先代やガソリン車にはない注目のグレードが用意されている。それが最上級グレードの「LUXION(ルキシオン)」だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    工藤貴宏

    Takahiro Kudo

    1976年生まれ。保育園に入る頃にはクルマが好きで、小学生で自動車雑誌を読み始める。大学の時のアルバイトをきっかけに自動車雑誌編集者となり、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。はじめて買ったクルマはS13型のシルビア、もちろんターボでMT。妻に内緒でスポーツカーを購入する前科2犯。やっぱりバレてそのたびに反省するものの、反省が長く続かないのが悩み。
  • 撮影

    小川亮輔

    Ryosuke Ogawa

    1986年生まれ。幼少期から父親の影響でクルマに惹かれている。独身時の愛車はシボレー・コルベットC5 V8 5.7Lのミレニアムイエロー。現在はレンジローバーV8 5.0L(3rd最終型)に家族を乗せている。2022年、SNSを通してAUTOCAR編集部の上野太朗氏に発掘される。その2日後、自動車メディア初仕事となった。instagram:@ryskryskrysk

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