内装に牛16頭分のレザー ベントレー・ブルックランズ 英国版中古車ガイド 生産数は約400台

公開 : 2023.05.09 08:25

往年のベントレーを象徴する唯一の訴求力

生産台数が少なかったこともあり、ブルックランズは今でも比較的高値で取り引きされている。現在の英国市場を確認してみると、走行距離にもよるが、11万ポンド(約1771万円)以上することが一般的。

同年代のベントレーで、ひと回り小さいコンチネンタルGTなら、3万ポンド(約483万円)前後から探せる。比べると割高に思えるものの、ブルックランズのようなビッグクーペが今後登場する可能性は低い。市場は、SUVへ関心を寄せているためだ。

ベントレー・ブルックランズ(2008〜2011年/英国仕様)
ベントレー・ブルックランズ(2008〜2011年/英国仕様)

価値の高いブルックランズは、除湿されたガレージで大切に保管されている場合が多い。とはいえ、高速で走っている姿の方が、より輝いて見えることは間違いない。

類まれな技術と素材で、ガソリンを大量に燃やしてアウトバーンを疾走するために誕生したブルックランズ。もはや存在しない世界観のために作られたビッグクーペといえ、往年を象徴するベントレーとして、唯一無二の訴求力に溢れていると思う。

オーナーの意見を聞いてみる

サイモン・マホニー氏

「以前はベントレー・ミュルザンヌを所有していましたが、手の届く価格帯に落ちてきたブルックランズへ乗り換えました。この時代のスタイリングが好きなんですよ。とても素晴らしいクーペで、かなりスポーティでもありますね」

ベントレー・ブルックランズ(2008〜2011年/英国仕様)
ベントレー・ブルックランズ(2008〜2011年/英国仕様)

「グレートブリテン島北部、スコットランドへのロードトリップを楽しんでいます。高速道路を流せば、燃費は6.4km/Lくらいまで伸びます。ただし、メンテナンス費用はかなり高額ですね」

「近くのベントレー・ディーラーで診てもらっていますが、高級車だということを受け入れる必要はあるでしょう。わたしのクルマの場合、不具合が起きたのはリア・サスペンションのダンパー。費用はかかりましたが、好きな気持ちは変わりません」

購入時に気をつけたいポイント

ボディとインテリア

全幅が1900mmもあるため、ホイールのガリ傷やバンパーの擦り傷には要注意。特に交換用アルミホイールは入手が難しい。

インテリアは、手入れが行き届いているはず。走行距離に関わらず、レザーシートはソフトでヘタリも感じられないことが多い。上質なレザーは高価だから、割けた部分の修理だけでも安くは済まないだろう。

エンジン

ベントレー・ブルックランズ(2008〜2011年/英国仕様)
ベントレー・ブルックランズ(2008〜2011年/英国仕様)

ブルックランズでは、エンジンを4500rpm以上まで回す必要は殆どない。内部摩耗が進むほど、走行距離を重ねている例も殆どない。とはいえ、定期的な通常のメンテナンスは高額だと考えたい。

英国の正規ディーラーの場合、エンジン周りの主要な整備で5000ポンド(約80万円)、基本的な点検・整備だけでも1900ポンド(約30万円)は要求されるようだ。正規ディーラー以外の、ブランドを得意とするガレージなら費用を抑えられる。

トランスミッション

ZF社製の6速オートマティックは堅牢。密閉型ユニットとして提供されているが、少なくとも9万km毎にフルード交換などは行いたい。正規ディーラーの場合、800ポンド(約13万円)からとなっている。

サスペンション

車重は2650kgと重く、ブッシュ類に掛かる負担は大きい。部品代も高く、全体を交換するには作業代を除いて約1000ポンド(約16万円)かかる。路面の凹凸などを越えて、異音が聞こえないか確かめたい。

ブレーキ

受け止める運動エネルギーは巨大だが、スチール製ディスクとパッドの交換は、現実的な価格で頼める。正規ディーラー以外の専門ガレージなら、1000ポンド(約16万円)くらいで請けてくれるようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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