新HVシステム獲得 プジョー3008 136 e-DCS6 ハイブリッドへ試乗 燃費は期待に届かず

公開 : 2023.08.01 08:25

1.2Lハイブリッドを搭載した3008が登場。小型クロスオーバー市場をリードできる実力か、英国編集部が評価しました。

1.2L 3気筒ターボ+28psの電気モーター

プジョー3008に、新しいハイブリッド・システムが搭載された。といっても、基本的にボディを動かすのは小さな内燃エンジン。駆動用モーターだけで走れるのは、軽負荷時に限られる。トヨタC-HRが、欧州では最大のライバルになる。

このシステムで特徴といえるのが、デュアルクラッチ6速ATと一体になった駆動用モーターだろう。電圧48Vで稼働し、最高出力は28psを発揮。1.2L 3気筒ガソリン・ターボエンジンと協働しながら、前輪を駆動する。

プジョー3008 136 e-DCS6 ハイブリッド(欧州仕様)
プジョー3008 136 e-DCS6 ハイブリッド(欧州仕様)

追って他のモデルにも搭載されるようだが、真っ先に採用が決まったのがクロスオーバーの3008だ。次世代が2023年末に発表予定なものの、人気は現在も堅調で、新たなパワートレインが追加されることになったのだろう。

プジョーは、一般的な利用環境の場合、走行中の最大50%までエンジンを動かさずに走れると想定している。ハイブリッドではない3008 1.2ピュアテック130と比較して、燃費は15%程度向上するそうだ。

駆動用バッテリーの容量は0.89kWhと小さいが、助手席の下へ搭載されており、荷室容量やフロア高などに影響はない。3008の優れた実用性はそのまま、高効率なハイブリッドのメリットを受けることができる。

インテリアなどは、既存の3008と同様。登場が2017年と少々時間が経過していることもあって、ダッシュボード上のタッチモニターは小さめに感じる。だが内装には高級感があり、乗員空間にはゆとりがある。

期待へ届かない実際の燃費 印象は普通

運転した印象は、至って普通。発進直後、低速域では駆動用モーターだけで走行可能だが、デュアルクラッチ6速ATの変速するフィーリングが伴う。モーターからは回転音が聞こえ、内燃エンジンが始動しても、かき消されることはなかった。

期待へ届かなかったのが、実際の燃費。市街地を中心に1時間ほど走行したが、エコ・モードで右足を丁寧に傾けても、12.4km/Lという結果になった。EVモード・ボタンがないとはいえ、駆動用モーターだけで走れたのは全体の6%の距離に過ぎなかった。

プジョー3008 136 e-DCS6 ハイブリッド(欧州仕様)
プジョー3008 136 e-DCS6 ハイブリッド(欧州仕様)

確かに、1.2L 3気筒エンジンは試乗した殆どの時間で稼働していた。つい回したくなる、活発なユニットではあるのだが。

駆動用モーターもアシストを加えた、システム総合での最高出力は136psとなり、加速力はさほど鋭いわけではない。アクセルペダルの操作に対して、1478kgあるボディの重さを感じてしまう。C-HRの方が、0-100km/h加速時間は2.0秒も速い。

ステアリングホイール裏に取り付けられたパドルを弾くと、デュアルクラッチ6速ATのギアを選べる。ギクシャクすることなく、テキパキと次のギアを選んでくれるのが美点。もっとも、特にスポーティなわけではないから、必要性は低いかもしれない。

アクセルペダルを放しても、エンジンの回転数が落ちるまでに短いラグがあったことが、少し気になった。問題を感じたわけではないけれど。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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