巨大グループ期待の星! 新型プジョーE-3008へ試乗 ダッシュ力競争から1歩引いた214ps

公開 : 2024.06.02 19:05

新しいSTLAプラットフォームで一新した、プジョー3008 後席は狭めながら、モダンで好印象なインテリア 穏やかな動力性能 乗り心地は落ち着きが不足気味 英国編集部がEV版を評価

STLAプラットフォームの期待の星

プジョーも属する、ステランティス・グループの最新プラットフォームが、STLA。ステラと呼ぶらしい。テスラと混同してしまいそうだ。

同グループの屋台骨として、これから年間200万台の基礎骨格を担う。その先鋒となるのが、今回試乗したプジョーE-3008だ。先代までの3008は世界中で人気を博し、130か国で130万台を販売した。新世代への期待は極めて大きい。

プジョーE-3008 73kWh 210 GT(英国仕様)
プジョーE-3008 73kWh 210 GT(英国仕様)

このプラットフォームは、内燃エンジンにも対応するよう調整を受けているが、バッテリーEVとしての利用が最優先されたとか。ほぼ、専用設計と考えて良い。

開発を主導した技術者、エルベ・シャイデッガー氏は「バッテリーを中心にすべて選択されています」。と述べている。駆動用バッテリーは、シャシー剛性も担う重要な一部に組み入れられている。

全長が4.3mから4.9m、ホイールベースは2.7mから2.9mのモデルで、利用が想定されている。E-3008の全長は4542mm、ホイールベースは2739mmだから、想定範囲としては小さい側にある。7シーターのe-5008も、これをベースに登場予定だ。

基本的には前輪駆動となり、車重は同クラスのライバルと比べると200kg前後重い。格上のe-5008も前提にするため、小さなE-3008にとってはオーバースペックになりがちで、重さが増えるのも理解できる。

駆動用バッテリーの容量は、73kWhか98kWhが選択可能。航続距離は前者で524kmがうたわれる。ウエストラインが高めに見えるが、ほぼ同じスタイリッシュな見た目で、マイルドとプラグインのハイブリッドも、3008の名で登場する。

モダンで好印象なインテリア 後席は狭め

車内へ目を移すと、前席側はプジョー最新のパノラマ i-コックピット・デザインを採用。従来のレイアウトより、人間工学的な不自然さはなくなった。

ダッシュボードには、ウールを用いたテキスタイルが張られ、カーブを描く大きなモニターパネルが立ち上がっている。クロームメッキではなく本物のアルミニウムが各部を引き締め、インテリアはモダンで知覚品質が高い。

プジョーE-3008 73kWh 210 GT(英国仕様)
プジョーE-3008 73kWh 210 GT(英国仕様)

間接照明のデザインも素晴らしい。ダッシュボードのクロスがバックライトで照らされ、ドライブモードによって色が変わる。新しいブランドイメージが、カタチとして表現されているようだ。

ステアリングホイールは小さめのままだが、高めのモニターパネルは運転中でも見やすい。身長の低いドライバーは、丁度いい運転姿勢を探しにくいかもしれないが、シートの座り心地は素晴らしい。

モニターパネルは2画面に分かれており、片側はメーター用で、もう一方はインフォテイメント用。その下には、i-トグルと呼ばれるショートカット用タッチモニターが用意され、お好みでシートヒーターやナビゲーションなどと関連付けられる。

音声操作機能も実装。運転席側と助手席側との指示を聞き分けられ、エアコンの温度も個別に変更できるそうだ。

後席側の空間は、セニック E-テックより狭め。それでも、大人には不足ない空間がある。荷室容量は588L。床下にも収納空間があり、床面は高さを変えられ、使い勝手は良さそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    役職:編集者
    自動車業界で10年以上の経験を持つ。欧州COTYの審査員でもある。AUTOCARでは2009年以来、さまざまな役職を歴任。2017年より現職の編集者を務め、印刷版、オンライン版、SNS、動画、ポッドキャストなど、全コンテンツを統括している。業界の経営幹部たちには定期的にインタビューを行い、彼らのストーリーを伝えるとともに、その責任を問うている。これまで運転した中で最高のクルマは、フェラーリ488ピスタ。また、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIにも愛着がある。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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