ビッグモーター保険不正 2006年に社長みずから会議で指示 「客にはわからんじゃろ」

公開 : 2023.08.01 11:45  更新 : 2023.08.01 14:56

ビッグモーター保険不正。当時の営業部門の社員、大手損保ビッグモーター担当者、ビッグモーター元板金部門社員に取材。

「社長が知らなかった」はウソ?

ビッグモーターの保険金不正請求は2023年7月18日にビッグモーターの公式サイトの中で調査報告書が全公開され、様々な悪事が明らかになっている。

しかし、7月25日に突如として開催された兼重社長(辞任)会見ではこれらの不正請求への関与に関して、「板金部門が勝手にやったことで会社の上層部はこの件をまったく知らない」というスタンスを貫いた。

会見で辞任を発表した兼重宏行社長(2023年7月25日)
会見で辞任を発表した兼重宏行社長(2023年7月25日)

以下は、社長会見における核心に触れる部分の兼重宏行前社長の発言であるのでまずはここを紹介しておく。

「6月26日に報告を受けて、耳を疑った、こんなことをやるのかと愕然としましたね。その時初めて現場に入ってよく見とけばよかったなと、その内容は大事な大切なお客様の車をお預かりしてこれから修理する人間が傷をつけて水増し請求する! ありえんですよ。本当に許しがたいと」

「特に悪質な案件が5つあると書いてありました。その中でも、もう本当に衝撃的でこれはもう一線を越えてるなというのがゴルフボールを靴下に入れて振り回してひょう害車の損傷範囲を広げて水増し請求する。もう本当にこれは許せません。ゴルフボールで傷をつけるゴルフを愛する人に対するほんと冒涜ですよ」

「これは今事実関係を確認中ですけども分かり次第刑事告訴を含む厳正な対処をしたいと考えております」(刑事告訴については後に撤回)

その後、数多くのメディアが兼重社長含む上層部が保険金不正請求のことを知っていたのかを検証し、筆者も多数のテレビ番組や週刊誌等からそのことでコメントを求められた。

そこで筆者はどのメディアにも以下のように答えていた。

「幹部社員が知っていた可能性は高いが、社長の耳には入らないようにしていたのではないか。内部告発があった時も、あまり詳しい内容を伝えず、社長はそれほど深刻な問題とはとらえなかった可能性がある」

「もし、社長が詳しく知っていれば、もっと早くこの件は調査に動いていたのではないか」

この件について実際に板金工場の責任者にも数名取材をしており、水増し請求をするための不正な作業を数多く目撃したという証言が得られた。

また、上層部、中には損保会社の担当者から直接、指導を受けていたという工場もあった。

「板金部門だけでやったこと」ではないだろうと思っていたが、社長自身は本当に知らなかったのではないかと筆者は思っていたのだが……。

それが大きな間違いだったことが分かった。数日前、筆者に様々な情報を提供してくれる関係者から驚きのメールが届いた。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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