プリウスやi7が加わっても良かった! 鮮烈さが薄い? 2024年の欧州カー・オブ・ザ・イヤー候補たち(2)

公開 : 2024.03.02 09:46

2024年の欧州COTY候補に選ばれた7台を、英国編集部が独自に評価 マツダCX-60やVW ID.7、トヨタ・プリウスも可能性はあった 屈託や忖度ナシの本音対談

i7とi4を見事には融合できなかった

マット・ソーンダース(以下:MS):「続いて2台のサルーン。BMW i5とBYDシール、どちらも魅力的ですが、惜しい部分もあります。例えばi5は、動的に活発で洗練されていながら、期待ほど電動パワートレインが秀でているわけではない」

「さらに80km、航続距離は長く欲しい。パッケージングも、少し改善が必要でしょう」

ブラックのBYDシールと、ホワイトのBMW i5
ブラックのBYDシールと、ホワイトのBMW i5

マーク・ティショー(MT):「自分はBMW i7が好きなので、(2024年の欧州COTYへ)ノミネートされなかったのが残念かな。最近はi7を、BMWの洗練性の基準にしています。i4も、操縦性のバランスとドライバーとの一体感で、かなり好きです」

「どちらも優れた電気自動車。i5は、この2つを見事に融合させるのでは、と期待していました。ところが、そうではない。3シリーズと4シリーズがサイズを拡大する中で、5シリーズの居場所がぼやけているような気がします」

「BYDシールはその逆。乗れば乗るほど気に入ります。ブランド名やモデル名を気にしなければ、テスラモデル3の対立候補として、かなりの訴求力を持つと思います。ゲームチェンジャーではないにしても、現在の市場を奪える強みはあります」

「シールを1週間お借りした時に、ポルシェタイカンのオーナーへ見せたんです。彼はスタイリングやインテリアの水準、航続距離に感心していましたよ」

トヨタプリウスが加わっていれば

MS:「確かにシールの内装は素晴らしい。車内空間も広い。タイカンやテスラと同等の急速充電能力はないとしても、エネルギー効率は高い。走りも立派です。ただし、少し派生的なポジションすぎるかな」

「明確な理由でシールを選ぶというより、モデル3に馴染めなかった人を補完するようなクルマ、という印象です。でも、運転しやすく快適。装備も充実しているし、バッテリーEVとしての価値は高い。もっと酷いモデルが実際にありますよ」

イエローのボルボEX30と、オレンジのトヨタC-HR
イエローのボルボEX30と、オレンジのトヨタC-HR

「最後に、ボルボEX30とトヨタC-HR。欲しいと感じる人が多いであろう、コンパクト・クロスオーバーです。片方はお手頃な価格のバッテリーEVで、他方は欧州でもヒットしたハイブリッドの最新版。欧州COTYが、評価すべきクルマだといえます」

「わたしは、C-HRの方が良いと思います。現実世界で。シンプルで馴染みやすい。燃費を伸ばすのも難しくない。スタイリングも個性的で面白い」

MT:「C-HRの英国価格は、3万1290ポンド(約582万円)から。5000ポンド(約93万円)安ければ、自分は(欧州COTYでの)投票ポイントをもっと与えたでしょう。製品のポジショニングは巧妙。でも価格を考えると、車内が狭すぎます」

「期待するであろう、大人4名分の広さがない。トヨタ・プリウスが加わっていれば良かったのに。プリウスは、同社が発売したここ数年のモデルで、最高のハイブリッド車ではないでしょうか」

「英国での販売も決まりました。運転しやすく高効率で、賢い選択になるでしょう」

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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