2+2の四輪駆動へ一新 次期 メルセデスAMG GTへ同乗 V8ツインターボは継続 585psか?

公開 : 2023.07.24 08:25

四輪駆動でも伝統的なAMGらしさが漂う

飛躍的な変化となるのが、SLと同様に、後輪駆動から四輪駆動へ改められることだろう。トランスミッションは、スピードシフトと呼ばれる7速デュアルクラッチ・オートマティックから、一般的な9速オートマティックへ切り替わる。

お話を伺いながら、助手席で観察する。確かに車内空間はひと回り大きくなり、広々としている。だが、四輪駆動化されているにも関わらず、現行のGTと印象はかなり近い。

次期 メルセデスAMG GT プロトタイプ(C192型)
次期 メルセデスAMG GT プロトタイプ(C192型)

前方に伸びるボンネットは長い。スポーツ・プラスモードを選択すると、エンジンはキレの良いドライなサウンドを響かせる。加速力は凄まじい。伝統的なAMGらしさが漂う。

ボディサイズの拡大や四輪駆動システムなどで、必然的に車重が増えることをシーベは認める。それでも、現行と同等以上の動的能力は得るとのこと。大きく超えることはないにしても。

四輪駆動の採用は、GTに新たな次元を与えるとも話す。「前輪と後輪のパワー分配は、完全な可変式です。初夏にアルプスの峠を味わうことができますし、真冬に同じ道をドライブすることも可能です。安全だと実感できますから」

普段使いの親和性が高いクルマに

サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン式でリアがマルチリンク式。専用チューニングの、アダプティブ・ダンパーとアクティブ・アンチロールバーが組まれる。

最新のSLより足腰は引き締められているが、現行のGTより衝撃吸収性は優れるようだ。路面へしなやかに追従する。

次期 メルセデスAMG GT プロトタイプ(C192型)
次期 メルセデスAMG GT プロトタイプ(C192型)

ドイツ南西部、アファルターバッハにあるAMG本社へ戻る途中、新しいフラッグシップモデルに対する期待をシーベが語る。「極めて高次元にドライバーの興奮を誘い、魅了する能力を備えた、スーパーカーであり続けます」

「しかし、とても快適で乗りやすくなります。普段使いとの親和性が、より優れたクルマになりますよ」

全体的なプロポーションはSLと似ている

さて、次期GTの情報を1度整理しよう。発表は2023年9月に予定され、販売も年内に始まる見込み。基本的には、メルセデスAMGが初めて全面的な開発を担当したSLと、ハードウエアの大部分を共有する。

そのため、スタイリングも接近すると考えられる。カモフラージュされていても、流麗なルーフラインとフロントマスク以外、全体的なプロポーションは似ているように見える。差別化として専用アルミホイールや塗装色、オプションなどは用意されるだろう。

次期 メルセデスAMG GT プロトタイプ(C192型)
次期 メルセデスAMG GT プロトタイプ(C192型)

現行型は2シーターだったが、次期型ではSLと同様に+2のリアシートを得る。直接的なライバル、ポルシェ911 ターボやフェラーリ・ローマに準じる実用性が与えられる。

モジュラー・スポーツ・アーキテクチャの採用で、横方向のボディ剛性は50%向上。エンジンとアクスルを、シャシーの低い位置へレイアウトすることが可能になる。

エンジンも、SLとベースをともにする4.0L V8ツインターボ。しかし、独自のチューニングが施されると考えていい。585psと81.4kg-m程度まで強化され、0-100km/h加速は4.0秒を切るはず。最高速度は320km/hに届くだろう。

メルセデスAMG GT 4ドアクーペの63eと同じく、プラグイン・ハイブリッドも登場するはず。車重は、最新のSLで1970kgある。GTは固定ルーフになることで、軽くなる可能性がある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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