メルセデスAMG GT 詳細データテスト 純粋さを欠く動力系とハンドリング 気になる高周波ノイズ

公開 : 2023.07.01 20:25  更新 : 2023.07.04 00:56

メルセデスAMG最強の市販車となる800psオーバーのPHEVに期待は膨らみましたが、パワートレインはサウンドも力感も物足りなく、ハンドリングも冴えが足りませんでした。ジキルとハイドが妥協したようなクルマです。

はじめに

メルセデスAMGが50周年を祝った2017年のジュネーブショーで、ボスのトビアス・ムアースはSLSとGTに続く第3の自主開発スポーツカーを公開した。

メルセデスAMG GTコンセプトというネーミングは、アファルターバッハのモデルレンジにおいて、どのような役割を意図しているのかをはっきり示すものではなかった。それは、AMG専用車としては初の4ドアモデルだったのだが。

テスト車:メルセデスAMG GT63S Eパフォーマンス
テスト車:メルセデスAMG GT63S Eパフォーマンス

しかし、このクルマでもっとも興味深い点は、その実用性ではなくパワートレインだった。AMGで一般的な手組みのV8単体ではなく、パフォーマンス志向のハイブリッドで、しかも4WD。最高出力は800psをわずかに超えていた。

それから6年、メルセデスとAMGは別の方向を目指す会社のように感じられた。しかしついに、市販を公言していたAMGの電動化モデルであるスーパーハイブリッドが登場した。今回のGT 4ドアである。

賛否ある新型4気筒を積むC63に先駆け、2022年発売のGT63S EパフォーマンスはAMG初の市販PHEVとなった。AMGの量産車最強モデルでもあり、自社開発のハイパフォーマンスなバッテリーテクノロジーを採用。ハイブリッド駆動のコンセプトも、これまでのクルマには見られなかったものだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事

        ×