驚異的に速く、目覚ましく直感的 ランボルギーニ・レヴエルトへ試乗 1015psのV12プラグインHV(2)

公開 : 2023.10.15 19:06

ハイブリッド化されたアヴェンタドールの後継車 NA V12エンジン+トリプルモーター システム総合1015psのスーパーカーへ英編集部が試乗

凶暴と表現できる加速力 正確で一貫した反応

ランボルギーニレヴエルトのメディア向け試乗会が開かれたのは、イタリア・ローマ郊外にあるヴァレルンガ・サーキット。まだ完全な車両認可を受けていないということで、公道走行は許されなかった。現実的な環境での印象は、想像するしかない。

長いストレートを瞬く間に飲み込む勢いは、凶暴とすら表現できるレベル。極めてシャープにレブリミットまで吹け上がるV12エンジンは、フロントに載る2基の駆動用モーターが生む即時的なトルクと相乗し、凄まじい加速を実現させている。

ランボルギーニ・レヴエルト(欧州仕様)
ランボルギーニ・レヴエルト(欧州仕様)

アクセルペダルを傾けた瞬間、強烈なダッシュが始まる。そして、それが延々と続く。本領を発揮すれば、ブレーキングゾーン手前の到達速度は、確実に先代のランボルギーニ・アヴェンタドールより速い。

その後のコーナーでブレーキとシャシーへ強い負荷がかかる中、同社がスーパーカーの動的特性を磨き込んできた成果が見事に現れる。過去にないほど、反応は正確で一貫している。まとまりがあり、扱いやすい。

ランボルギーニ・ウラカン・ペルフォマンテやSTO、アヴェンタドール SVJやウルティマエで、潮目が変わったように思う。

ハイスピードからの減速時や高速コーナーでは、従来的な同社のスーパーカーらしい挙動を垣間見せる。シャシーの中央へ大きく重いエンジンを搭載していることを、背後で生まれる慣性から感じ取れる。しかし、レヴエルトは自ら丸め込む。

ドライバーは、ひたすら思い通りに操ればいい。不意にリアが暴れ、処理へ追われることはない。

モーターによるトルクベクタリングに感銘

サスペンションは、アヴェンタドールが採用していたプッシュロッド式のオンボードダンパーからお別れ。各タイヤの背後へ、MR流体によるアダプティブダンパーが縦に組まれている。

ステアリングは、評判の優れなかった可変レシオから、固定レシオへ改められた。そのかわり、アクティブ制御される後輪操舵システムが実装されている。

ランボルギーニ・レヴエルト(欧州仕様)
ランボルギーニ・レヴエルト(欧州仕様)

今回の試乗で最も感銘を受けたのが、フロント2基の駆動用モーターによる、トルクベクタリング機能だろう。限界領域での操縦性を、確実に高めている印象だった。

さらに、リア側の駆動用モーターは回生機能も備え、従来のスタビリティ・コントロールより自然にV12エンジンの出力を調整。それ以外の電子システムも調和しながら介入し、可能な限り正確で迅速なコーナリングを実現させている。

詳しく見ていくと、フロントの駆動用モーターの回転と、ブレーキの制動力を巧みに調整し、コーナーへの侵入を安定化。アクセルペダルを緩めると、前後のステアリングシステムが、慣性を無視したような旋回を繰り出す。さも当然のように。

頂点を過ぎパワーを加え始めると、トルクベクタリング機能が作動。V12エンジンがリアタイヤを回転させつつ、フロント外側の電気モーターが多めにトルクを生み出す。スタンスをニュートラルに保ちつつ、正確にラインを辿らせる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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