【感涙レベルの完成度】 もっとやれ! 新型V12『レヴエルト』はランボルギーニらしさ全開!

公開 : 2024.10.19 11:45

V12をリアミドシップに搭載するランボルギーニのフラッグシップモデル。その最新作となるレヴエルトに、編集長ヒライが公道で試乗。元月刊ランボルギーニ担当を名乗るヒライの目に、レヴエルトはどう映ったのでしょうか?

元『月刊ランボルギーニ』担当者の思い入れ

ランボルギーニ・レヴエルトについに乗ることができた。最初にちょっとだけ、感慨深い(といきなり書いてしまうが)その背景を書いておきたい。

私は『月刊ランボルギーニ』の異名を持っていたスーパーカー雑誌『ROSSO』の編集部に15年ほど在籍し、そのうち3年は編集長も務めた。

新型V12フラッグシップ、ランボルギーニ・レヴエルト。試乗車はエヴァ初号機みたいなカラーリング。
新型V12フラッグシップ、ランボルギーニ・レヴエルト。試乗車はエヴァ初号機みたいなカラーリング。    田中秀宣

リアルタイムで取材してきたランボルギーニは1990年代終盤、ディアブロの後期から。ムルシエラゴはサンタアガタの本社まで何度か取材に行ったし、ガヤルドは2003年のジュネーブ・ショーでデビューも見たし、『イオタ白書』なるムックも製作したし、カウンタックのムックは2回も作らせて頂いた。

ありがたいことに、ディアブロ後期以降のランボルギーニはだいたい乗ることができている。先日乗ったウラカン・テクニカは、いつか手に入れたいと思うほど感動した。

というわけで、ランボルギーニには少なからず思い入れがあるのだが、今回レヴエルトをしっかりと取材させて頂いて、”随分と遠くまで来たなぁ”と思ったのだ。

2回目となる逆転の発想

取材は今回試乗記をお願いした渡辺敏史さんの助手席でスタートした。エンジンが始動するとその轟音に体がビクっとなるほど驚き(渡辺さんも驚いていた)、いかにも多くのピストンが上下しているという感覚が、今では少なくなってしまった12気筒であることを教えてくれる。

駆動系が発するのか、室内に響くどこか高い周波数の金属音を聴いて思い出したのは、実はミウラ・イオタと呼ばれるミウラSVJだった。イオタ白書の取材で訪れたフランスにて、シルバーを纏った『SVJスパイダー』と呼ばれるシャシーナンバー4808の助手席に乗せて頂いたのが、確かミウラ初体験だったと思う。その時に、ルーフレスの頭上から聴こえたあの音に似ていたのだ。

本文とは全く関係ないが、室内もやはりエヴァ初号機を思わせるコーディネートだ。
本文とは全く関係ないが、室内もやはりエヴァ初号機を思わせるコーディネートだ。    田中秀宣

これはムルシエラゴでもアヴェンタドールでも感じなかったことだ。今回、フロントにモーターを追加し駆動することでドライブシャフトがなくなり、トランスミッションがエンジン後方に移動したことは無関係でないだろう。

私は初めてROSSOでカウンタックの”巻末特集”を作った時に、フロントに搭載したV12エンジン+トランスミッションを逆方向にしてリアに搭載するというレイアウトと、フェラーリへのカウンターとして挑戦した若きエンジニアたちに最大限の敬意を表して、『逆境の勇者たち』というタイトルをつけた。そして今回レヴエルトでは”本来の方向”に戻し、プロベラシャフトの位置にバッテリーを搭載するという、2回目となる逆転の発想を行ってきたのだ。

助手席でそんなことを考えながら感じたのは、その空間の快適性だ。アヴェンタドールまでは、サウンドも乗り味も刺激しかなくて、エブリデイ・スーパーカーと呼ぶに相応しいエキサイティングな非日常がとにかく魅力であった。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。
  • 撮影

    田中秀宣

    写真が好きで、車が好きで、こんな仕事をやっています。
    趣味車は89年式デルタ・インテグラーレ。

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