【電動化フラッグシップ】 新型V12『レヴエルト』にランボルギーニのプライドを見た!

公開 : 2024.10.18 11:45

V12をリアミドシップに搭載するランボルギーニのフラッグシップモデル。その最新作となるレヴエルトに、渡辺敏史が公道で試乗しました。内燃機関とモーターの”混成”作は、ドライバーにどんな印象をもたらすのでしょうか。

車名は内燃機とモーターの混成=ハイブリッドを意味

パワートレインの電動化、とりわけハイブリダイゼーションに前向きな姿勢をみせるランボルギーニ。その新世代のフラッグシップとなるのが、アヴェンタドールの後継に位置づけられるレヴエルトだ。名前は伝統に則って伝説的な闘牛の名から戴いているが、その意は”混合”となる。つまり内燃機とモーターの混成=ハイブリッドを意味しているわけだ。

レヴエルトは厳密にカテゴライズすればPHEV、つまり外部充電やモーター単独による一定距離の走行が可能なプラグインハイブリッド車ということになる。センタートンネル部に搭載するバッテリーの容量は3.8kWhで、モーター走行時の航続可能距離は発表されていない。

アヴェンタドールの後継に位置づけられる新型V12モデル、ランボルギーニ・レヴエルト。
アヴェンタドールの後継に位置づけられる新型V12モデル、ランボルギーニ・レヴエルト。    田中秀宣

しかし倍量のバッテリーを積むフェラーリ296GTBやマクラーレンアルトゥーラの公表値から推すれば、ベストエフォートで15km程度、現実的には10km以下というところだろう。ちなみにモーター走行時に駆動するのは前軸に置かれた2つのモーターで、つまりその際のレヴエルトはFF状態ということになる。

と、一応そうやってPHEVの体を採りつつもレヴエルトの本懐はこの150ps/350Nmを発揮する2つに加えて、後軸側に配された150ps/150Nmと、合計3つのモーターを多様に駆使しながら、伝家の宝刀である12気筒を搭載するこのクルマの動力性能や運動性能を新次元に引き上げることだ。システムの合計出力は1015psと大台超えを果たし、0-100km/h加速は2.5秒、最高速は350km/hオーバーの高みに到達する。

アヴェンタドールのエンジンと中身は別物

主役となる6.5L V型12気筒には、”L545″というコードネームが与えられた。L539となるアヴェンタドールのそれとはボア、ストロークなど骨格的な共通項はあれど中身は別物で、エンジン単体の最高出力は825ps。これを9250rpmで発揮し、レッドゾーンは9500rpmに設定される。

エンジン本体もL539に対して17kg軽い218kg。センターモノコックのみならずフロントセクションにもカーボンを用いるなど、電動化に伴う重量増を出来る限り相殺しようと軽量化には相当力が入っているようだ。

エンジン単体の最高出力は825ps。これを9250rpmで発揮し、レッドゾーンは9500rpmに設定される。
エンジン単体の最高出力は825ps。これを9250rpmで発揮し、レッドゾーンは9500rpmに設定される。    田中秀宣

前述した通り、センタートンネルには駆動用バッテリーが収まるため、レヴエルトはエンジンの背後に新設した後軸モーターと一体の横置き8速DCTを搭載。縦置きミッションをセンタートンネルに配するパオロ・スタンツァーニ発案の”カウンタック・レイアウト”は、アヴェンタドールをもって終了ということになった。

となるとホイールベースの大幅な延伸が見込まれるが、ミッション長の工夫などもあってアヴェンタドール比で80mm増に抑えられている。それでも全長は約4950mm、全幅は約2030mmと、もはやハイパーカーの側に片足を突っ込んだような寸法だ。

ドライブコンフィギュレーションは従来の『ANIMA』とは別に、モーター側パワートレインのマネジメントを選択するモードが加わっている。選択肢は走行時充電に対応するリチャージ、エンジンとモーターをバランスよく御するハイブリッド、そしてモーターの能力を最大限に発揮するパフォーマンスの3つだ。

加えてANIMAには従来のストラーダ、スポーツ、コルサの他、新たにチッタが加わった。イタリア語で市街を意味するそれはモーター駆動固定のモードで、住宅地のガレージから最寄りの市街路へ走る際などに重宝しそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    渡辺敏史

    Toshifumi Watanabe

    1967年生まれ。企画室ネコにて二輪・四輪誌の編集に携わった後、自動車ライターとしてフリーに。車歴の90%以上は中古車で、今までに購入した新車はJA11型スズキ・ジムニー(フルメタルドア)、NHW10型トヨタ・プリウス(人生唯一のミズテン買い)、FD3S型マツダRX-7の3台。現在はそのRX−7と中古の996型ポルシェ911を愛用中。
  • 撮影

    田中秀宣

    写真が好きで、車が好きで、こんな仕事をやっています。
    趣味車は89年式デルタ・インテグラーレ。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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