限界へ誘う「悪魔的」スーパーカー ランボルギーニ・レヴエルトへ試乗 V12+3モーターで歴代最大・最強

公開 : 2024.06.07 19:05

1015psのV12エンジンHVスーパーカー ウラカンより優れる視界 呆気に取られるほど公道で扱いやすい 桁違いの全幅と馬力には要注意 乗り手を誘惑する悪魔的な仕上がり 英国編集部が評価

V12エンジン・スーパーカーの最新作は1015ps

ランボルギーニは、半世紀の月日をかけて、V型12気筒エンジンをミドシップしたスーパーカーを進化させてきた。その最新作が、1015psのレヴエルト。英国の公道で、仕上がりを確かめる時がやって来た。

斬新な出で立ちは、ランボルギーニの代名詞。それを理解していても、レヴエルトは大きく存在感が半端ない。アヴェンタドールより全長は約15cm長い。全幅はミラー抜きで2mを超え、路線バス並みにワイド。車重はBMW M3とほぼ同じ。

ランボルギーニ・レヴエルト(英国仕様)
ランボルギーニ・レヴエルト(英国仕様)

6.5Lもの大排気量エンジンは、気が遠くなるような9500rpmまで回る。同僚のマット・ソーンダースは、2023年にサーキットで試乗した際、公道での印象は想像するしかないとしつつ「完全な狂気だ」と表現していた。

今回、筆者がレヴエルトを走らせたのは、酷く濡れた英国のアスファルト上。果たして、想像以上に何事もなく運転できた。

真っ先にお伝えしたい事実が、日常的な運転体験では、アヴェンタドールより2世代ぶん進化したように感じること。先代も素晴らしく魅力的だったが、手に汗をかくほど一生懸命になる必要もあった。

運転席からの視界は狭く、幅広いカーボンファイバー製ボディは、常に大きく感じられた。フロントノーズは、ステアリングホイールから遠く離れた場所に感じられた。コーナリングラインを、滑らかに辿るのは難しかった。

良い意味でも悪い意味でも、荒削り感が否めなかった。どこも擦らず無事に降りられた時、ホッとしたほど。

ウラカンより優れる視界 電気で約6km走れる

レヴエルトは、多くの弱点が克服されている。まず、サイドシルの形状が変わり乗り降りしやすい。車内は広く居心地が良い。

内装の製造水準は極めて高く、フェラーリを超えているだろう。マット・カーボンとオレンジ・レザーのコーディネートは、好き嫌いがわかれそうだが、インテリアデザインは洗練されている。

ランボルギーニ・レヴエルト(英国仕様)
ランボルギーニ・レヴエルト(英国仕様)

ボディは間違いなくワイドながら、取り回ししやすい。バックミラーへ映るのは、美しいカムカバーが殆どでも、それ以外の視界は良好。ウラカンより優れている。

キャビン後方には巨大な空間が確保され、小さくないV12エンジンが収まっている。アヴェンタドールのように、ウインドウ越しに壮大なエンジンルームを眺めることはできなくなった。レーシングカーのような、プッシュロッド式サスペンションも。

250kg車重が増えたレヴエルトでは、ホイールの後ろに組まれる、一般的なダンパーとコイルスプリングというレイアウトへ変更された。この点では、エキゾチックさが薄れたといえる。だが、体験は遥かにモダンだ。

プラグイン・ハイブリッドだから、電気だけで進める。駆動用バッテリーの容量は3.8kWあり、フロントアクスル側に組まれた2基の駆動用モーターを回し、最長で約6km走れる。

825psを発揮する自然吸気のV12エンジンは、リアアクスルを担当。このパワーを受け止める8速デュアルクラッチAT内にも、3基目の駆動用モーターが存在する。CO2の排出量を減らしつつ、トルクも補ってくれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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