「墓穴を掘った」テスラ いまだに納車されないサイバートラック、生産に大きな課題とマスクCEO

公開 : 2023.10.23 18:05

・当初の予定から納車開始が2年も遅れているサイバートラック。
・テスラのイーロン・マスクCEOは「墓穴を掘った」と発言。
・大量生産に大きな課題。クリアすれば年間25万台達成へ…?

サイバートラック量産化に苦戦 マスク氏認める

米国の自動車メーカーであるテスラは、新型EVのサイバートラックの量産体制構築に苦戦し、納車延期が続いていることからイーロン・マスクCEOは自ら「墓穴を掘った」と語った。

サイバートラックは2019年の発表当時、2021年の納車開始を予定していた。今年7月に入り、ようやく生産を開始したが、購入希望者はまだ注文することができず、予約金をテスラに預けている段階だ。

2019年発表のテスラ・サイバートラックは、独特のデザインと「防弾」を謳うボディで大きく注目された。
2019年発表のテスラ・サイバートラックは、独特のデザインと「防弾」を謳うボディで大きく注目された。    テスラ

マスク氏は10月18日の第3四半期決算発表会で「サイバートラックの大量生産を達成し、サイバートラックのキャッシュフローをプラスにするためには、大きな困難が伴うだろう」と述べた。

テスラは革新的な生産技術を駆使して、防弾性能を持つという超硬ステンレス鋼のサイバートラックの量産化に挑んでいる。米テキサス州の工場では、9000トンのギガプレスを使用してアンダーボディの大部分を成型するほか、世界最大のホットスタンプ設備も設置している。

マスク氏は、テスラが直面している問題を解決すれば、2025年から年間25万台という目標生産台数を達成するだろうと述べた。

セダンのモデル3やSUVのモデルYなど、世界的に人気のあるEVをできるだけ効率的に大量生産することに注力してきたテスラにとって、サイバートラックは異例中の異例だ。

マスク氏はまた、「我々はサイバートラックで墓穴を掘った。サイバートラックは、ごく稀にしか登場しない特別な製品の1つだ。そのような特別な製品は、市場に投入することも、大量生産することも、ヒットさせることも信じられないほど難しい」と発言している。

決算発表会に出席したアナリストや投資家に対し、マスク氏はテスラの利益を確保しながら、かつ「人々が買える価格」でサイバートラックを市場投入することの問題点について語った。また、高い金利が価格を押し上げ、自動車を手の届きにくいものにしていると批判した。

テスラによるとサイバートラックの予約台数は100万台に達しているというが、車両価格は未定である。しかし、2019年に3万9900ドル(約600万円)とされた当初の予想価格よりもはるかに高くなりそうだ。

先日、テスラのソーシャルメディア・アカウントで、工場の従業者とともに写るサイバートラックの画像が公開された。このため、納車開始が近づいているとの憶測が流れたが、その時期に関する公式発表はなされていない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ニック・ギブス

    Nick Gibbs

    英国編集部ビジネス担当記者
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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