主力車種の競争力を強化 テスラ・モデル3 インテリアの質感向上 エネルギー効率も改善

公開 : 2023.09.24 19:05

モデル3がフェイスリフト フロントマスク一新で空力特性を向上 エネルギー効率改善で航続553km モデルYへも展開か

前後のライトを一新 空気抵抗を低減

売れ筋の主力車種だとテスラが認める、モデル3。発表が2016年、発売が2017年だったことを考えると、フェイスリフトを受けても良い時間が過ぎている。

エントリーモデルとして成功といえる結果を残すが、その内容を確認すれば疑問は抱かないだろう。航続距離はライバルと同等以上で、急速充電能力も秀でている。身のこなしは敏捷で、テスラの中では最も自然な操縦性を備えている。

テスラ・モデル3(欧州仕様)
テスラ・モデル3(欧州仕様)

2023年には販売価格が大幅に見直され、お手頃になった。シングルモーターで良ければ、ひと回り小さいハッチバック、新しいヴォグゾールオペル)・アストラ・エレクトリックと殆ど違わない予算で選べる。

そんな実力派のフェイスリフト版を確認していこう。テスラは、ユーザーの要望を受け、主要部品の50%以上へ改良を加えたと説明している。そのかわり2024年以降、1000ポンド(約18万円)から2000ポンド(約36万円)ほど値上がりするらしい。

最もわかりやすい変化は、フロントマスク。ヘッドライトは造形が一新されただけでなく、光量も増強され、フォグライトが不要になったそうだ。それによりフロントバンパーの形状を改め、空気抵抗の低減にも繋げたという。

テールライトは、点灯パターンがCの形に変更。エイのようなTのロゴは、TESLAという文字の並びに置き換えられている。ボディカラーはレッドとグレーに新色が加わり、ホイールも空力特性を改善させている。

ボンネットは、形状を改め気流を調整。フロントに加えてリアもダブルガラスになり、車内の静寂性も良くなったという。

高級感が増した車内 ウインカーレバーは消滅

インテリアも新しくなった。高級感が増したうえに、素材を見直すことでロードノイズを小さくしている。とはいえ、その変化度は限定的ではある。

シンプルなダッシュボードは、グレーのファブリックやカラーの違う化粧トリムを組み合わせることで、カスタマイズが可能になった。カップホルダーには蓋が付き、アンビエントライトがドアパネルからダッシュボードへ続いている。

テスラ・モデル3(欧州仕様)
テスラ・モデル3(欧州仕様)

存在感を放つ15.4インチのタッチモニターは、フレームが僅かに細くなっている。オーディオは、上級のロングレンジの場合、スピーカーの数が14本から17本へ増やされた。アンプも一新され、音質が磨かれている。

音声操作システム用にマイクが追加されており、電話での会話も滑らかに。車載WiFiの性能もアップし、自宅のルーターへ接続した状態でのソフトウエア・アップデートが、高速で処理されるようになった。

運転の操作系にも手が加えられている。特に、ステアリングコラムから一般的なウインカーレバーが省かれた点は大きい。

ステアリングホイールが3スポークの新デザインとなり、スポーク上にライトとウインカー、ワイパー、クルーズコントロールの操作スイッチが配されている。イメージするより機能的だが、レバーの方が扱いやすいと感じたのは、筆者だけだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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