ヨーロッパのハイエース フォード・トランジット・カスタムへ試乗 仕事に使える機能が多数

公開 : 2023.10.23 19:05

英国のベストセラーがモデルチェンジ 仕事に使える多数の機能を実装 洗練されたドライブトレイン バッテリーEV版も予定 

英国のベストセラーに輝くトランジット

2022年の英国で最も売れたクルマが、モデルチェンジした。大きな話題を呼ぶことは間違いないだろう。だがそれは、フォルクスワーゲン・ゴルフ日産キャシュカイ(旧デュアリス)ではない。

ここ2年間、英国のベストセラーに輝いているのがフォード・トランジット。先代の登場から10年以上が経過し、次世代へ生まれ変わった。ディーゼルエンジンのほかにハイブリッドも選択可能で、バッテリーEV版のe-トランジットも控えている。

フォード・トランジット・カスタム・リミテッドL1H1 320(英国仕様)
フォード・トランジット・カスタム・リミテッドL1H1 320(英国仕様)

とはいえ、新世代でも従来どおりディーゼルエンジンが主力になると見込まれる。ボディサイズは2種類から選べ、ダブルキャブも用意される。ミニバン仕様のフォード・トルネオ・カスタムも、遅れて加わる予定だ。

新型の特徴といえるのが、車重が100kg軽くなり、ホイールベースが200mm伸ばされたこと。バッテリーEV版の、大きな駆動用バッテリーや制御装置の搭載に備えるためだ。

スタイリングは大幅に見直され、空力特性は13%も向上。ロールーフでは全高を僅かに抑えたことで、英国の立体駐車場でよく見かける、2mの高さ制限に引っかかることもなくなった。

荷室のフロアも、80mm落とされている。そのおかげで、スタイリッシュにも見える。

13.0インチ・モニターが標準 使える内装

インテリアも一新。シフトセレクターがステアリングコラム側へ移され、キャビン中央部分の自由度が増している。フラットなフロアで、ドライバーはシートの上を滑るように左右へ行き来でき、狭い駐車場や縦列駐車時の乗り降りも容易だ。

下げられたルーフラインに合わせて、座面の位置も僅かに低くなった。ドライビングポジションも、直立した状態からやや寝かされたことで、背の高い商用車を運転している雰囲気は減じている。

フォード・トランジット・カスタム・リミテッドL1H1 320(英国仕様)
フォード・トランジット・カスタム・リミテッドL1H1 320(英国仕様)

新型の目玉装備といえるのが、モバイルオフィス・パッケージ。ステアリングホイールを水平に倒せ、パネルを被せるとテーブルになる機能だ。ノートPCを置いて見積りを直したり、ファストフードを載せてランチを取ったり、現場では重宝がられるだろう。

ダッシュボード上には、13.0インチのタッチモニターと、8.0インチのメーター用モニターが据えられる。フォードのシンク4と呼ばれるインフォテインメント・システムが稼働し、音声アシスタントのアマゾン・アレクサも実装する。

助手席側のエアバックはフロントガラス上部へ内蔵され、巨大なグローブボックスが2段で設えられている。ドアポケットの容量も大きい。内装では、光沢の強いブラックのプラスティック製パネルが目立つ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョージ・バロウ

    George Barrow

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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