ホンダが、インド生産の「WR-V」をこのタイミングで日本導入する理由

公開 : 2023.11.16 11:05  更新 : 2023.11.16 11:30

ホンダのグローバルSUVに対する考え方

日本に導入されるWR-Vの商品企画について、「ホンダとしてのグローバルコンパクトSUV」に対する意識は、多様な国の若手エンジニアの間で十分に共有できたという。

つまり、特にアジア圏ではコンパクトSUVに対して、ユーザーの捉え方がかなり似ているといえるだろう。

WR-V Z(ホンダアクセス用品装着車/イルミナスレッド・メタリック)
WR-V Z(ホンダアクセス用品装着車/イルミナスレッド・メタリック)    神村聖

むろん、東南アジアや南アジアでは、日本と比べると経済発展の度合いや、所得水準なども違い、さらには当然ながら社会環境や風習が違う。

その上で、インドではエレベイトとして、日本ではWR-Vとして、さらにはインドネシアなどではよりコンパクトなWR-Vというふうに、ホンダとしての経営資源を上手く組み合わせて国や地域の特性に見合ったモデルを投入するという事業戦略である。

興味深いのは、純正アクセサリーパーツの商品性の違いだ。

例えば、インドのエレベイトの場合、ボディを保護するプロテクターのような部材の需要が高いという。インドでは渋滞時など、周囲のクルマとかなり接近して走行することがあり、プロテクターは日常生活の中で必需品という見方ができる。

一方、日本のWR-Vの場合、「ハイクオリティ・タフネス」をテーマとした、オフロードっぽいイメージのラギッドなボディパーツを取り揃えている(写真)。

コスパの高さを実感 じつは走りも自信あり?

最後にWR-V実車の印象を紹介する。

外観の雰囲気は200万円台前半から中盤のSUVなのだが、「もっと価格が高いクルマに見える」といった印象だ。

WR-V Zの内装(コンビシート/プライムスムース+ファブリック)。ステアリングホイールやシフトレバーは本革巻きを採用する。
WR-V Zの内装(コンビシート/プライムスムース+ファブリック)。ステアリングホイールやシフトレバーは本革巻きを採用する。    神村聖

ボディのベルトラインが高く、フロントマスクは威風堂々としており、最低地上高も195mmとヴェゼルや他ブランドのコンパクトSUVと比べてかなり高いために、ボディ全体がより大きく見える。

インテリアも、最近のホンダ車と共通する水平基調のシンプルなダッシュボードであり、表皮や各種スイッチ類の質感が高い。

後席も車内全体の質感を実感でき、さらに角ばったボディスタイルによって車内空間の広さを実感できる。また、458Lという荷室は直感としてかなり広く感じる。

さらに注目されるのが、走りの良さだという。

今回話を聞いた複数のホンダ関係者は皆、「この価格帯のSUVとしては、走りの質感が高い」と、ホンダの真骨頂である“走りの良さ”を強調していたのが印象的だった。

以上のような、現時点で判明している情報からの受け止めとしては、日本に導入されるWR-Vの売りはコストパフォーマンスの高さである。

直近で、日本の乗用車セグメントは、「Nボックス」を筆頭とする軽2BOXが市場全体の33%を占め、これをSUV(24%)で追う展開だ。

まだまだ成長軌道にあるSUV市場、コスパの高いWR-Vが大化けする可能性は十分にあるのではないだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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