新型Nボックス 進化を1番感じるのは高速道路か ターボ/NAで検証

公開 : 2023.10.31 21:15

新型ホンダNボックスを、公道でテストしました。高速道路は、とりわけ進化の具合が体感しやすいようです。ターボとNAをレポートしましょう。

日本一売れる、まさに「国民車」

人気モデル、それも「日本一売れているクルマ」をフルモデルチェンジするのは、開発者にとって大変な苦労だっただろう。

初代から出来の良い軽スーパーハイトワゴンとして人気を集め、軽四輪車では2015年度~2022年度の8年連続、登録車を含めた四輪総合順位でも2021年度~2022年度の2年連続で販売台数の1位を獲得。

新型ホンダNボックス(164万8900円/FF/プラチナホワイトパール)
新型ホンダNボックス(164万8900円/FF/プラチナホワイトパール)    宮澤佳久

最も最近の2023年度上半期(4〜9月)の登録車を含む新車販売台数でも、1位を獲得している。

いまや「日本の国民車」と呼んでも過言ではないホンダNボックス。その新型の進化ぶりを、公道の試乗で確認してみたい。

軽自動車は全長3400mm×全幅1480mm以下というサイズが決められているから、登録車のようにサイズアップしてデザインを変更、というわけにはいかない。ましてや軽スーパーハイトワゴンは、1.8mくらいの全高と十分な室内空間が求められるから、デザインには限りがある。

それでも新型Nボックスは、いわゆる軽スーパーハイトワゴンのスタイリングを踏襲しながら、ルーフからサイドシルまで、1つの大きな塊で見せる立体的な造形など、歴代のNボックスらしいデザインを進化させた。とくに前後バンパーのコーナー周辺などにボリュームを与えて、とかく平面的になりがちな軽スーパーハイトワゴンらしくないところがいい。

ギラギラ系にしないホンダ流

シンプルで親しみやすい標準車、品格とハイパフォーマンスを感じさせるカスタムの差別化もうまい。

人間の瞳をモチーフにしたヘッドライトの標準車は可愛げのある顔だし、一文字ライトのカスタムは光りものギラギラのオラオラ系ではなく、品を感じさせるのもホンダらしいところか。

カスタムの後席シート。何度体験しても広さに驚く。スライド量が十分にあるので、乗員のための空間を優先したり、荷室を広くしたり使い勝手がいい。
カスタムの後席シート。何度体験しても広さに驚く。スライド量が十分にあるので、乗員のための空間を優先したり、荷室を広くしたり使い勝手がいい。    宮澤佳久

外観をひととおり見渡したところで、乗り込んでみよう。

まずは撮影の関係でリアシートに座る。軽自動車とは思えない驚異的な広さに変わりはない。

リアシートをいちばん後ろにスライドさせると、フロントシートバックに付けられたテーブルに手が届かないほどだ。もちろん、ヘッド&フットスペースは十分以上に広い。

ココは注目 ACC+LKASスイッチ

試乗は、標準車から。パワートレインはノンターボだけの設定で、基本的にキャリーオーバーしているが、シャシーを改善して乗り心地を向上させ、操縦安定性を高めている。

またルーフライニングやフロアカーペットの改良で静粛性も向上させているという。

(左上)筆者注目のACC+LKASのスイッチ。(下段)左が標準型の前席、右がカスタム・ターボで、ステアリングホイールにシフトパドルが備わる。
(左上)筆者注目のACC+LKASのスイッチ。(下段)左が標準型の前席、右がカスタム・ターボで、ステアリングホイールにシフトパドルが備わる。    宮澤佳久

ドライブモードにはECONが備わるが、ノンターボの標準車ではECONを入れた状態では発進加速や中間加速に物足りなさを感じるときがある。また、夏場はエアコンの効きがセーブされるから、状況に応じて使い分けると良いだろう。

都市高速に入り、流れが安定したところで「ACC(アダプティブ・クルーズコントロール)」のスイッチをONにする。

新型NボックスではACCをONにすると「LKAS(車線維持支援システム)」も同時にONになる。今まではACCをONにしてからLKASのスイッチを入れる必要があったから、これは便利。他のモデルでも今後採用して欲しいところだ。

逆に、ACCを使用せずにLKASをONにすることはできなくなったが、一般道でLKASを使うことはないから問題ないだろうし、何より扱いやすくなったことが最大のメリットだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。

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