乗って納得の「ロープライス実力派」 ホンダWR-Vは背伸びしない、等身大のパートナー

公開 : 2024.04.22 17:45

・ホンダWR-Vに公道で初試乗
・不思議な親しみやすさの源泉を探る
・ヴェゼルと重なる立ち位置 くわしく比較

「先輩」ヴェゼルとはどう違う?

同カテゴリーにヴェゼルがあるのに何故WR-V? と考えるのはもっともだが、コスパを軸にした棲み分けを考えた結果だ。

e:HEV(ハイブリッド)を主力としたヴェゼルに対してWR-Vはガソリン車のみの設定。ヴェゼルにもガソリン車は用意されているが、それでもX 2WDの約240万円(2024年4月)から。e:HEV車では約280万円からだ。WR-Vは約210万円からの設定で、最上級グレードのZ+でも250万円を下回る。

ホンダWR-V Z+公道初試乗
ホンダWR-V Z+公道初試乗

EPBが非設定のためACCに渋滞追従機能がなく、作動速度域30km/h以上となる高速対応型になってしまうがホンダセンシングは全車標準装備。装備簡略化による低価格戦略モデルという訳でもない。

さらに言えば値付けだけではなく、実用性の向上と合わせてコスパを強化しているのも見逃せない。プラットフォームは前半部をヴェゼルやフィットと同系、後半部をアジア市場向け3列席コンパクトSUVから移植。全長はヴェゼルとほぼ同じだが、ホイールベースを40mm拡大して、後席周りのキャビンボリュームを大きく採っているのが特徴である。

実際、後席スペースはコンパクトSUVではトップクラス。ヴェゼル比で50mm以上高くなった室内高もあり、大柄な男性の4名乗車でも無理がない。また、後席使用時の荷室奥行きはヴェゼルより100mm大きい。

ただし、ヴェゼルやフィットで売り物となっているチップアップ&ダイブダウンの2ウェイ後席収納は採用されない。これは定員乗車時を基準に後席の座り心地やコストなどの最適化を図った結果でもある。カップル+多用途性も重視するヴェゼルに対して、ファミリー用途重視のWR-Vと理解してもいいだろう。

飛び道具なしのパワートレイン、いざ試乗

誤魔化しかたが上手い、と言っては語弊があるが、余裕十分とも言い難いNA1.5LエンジンながらCVTと特徴を活かした変速とエンジンとの統合制御によりパワースペック以上の余裕をドライバーに感じさせてくれる。

変速制御では加速時にゴムが伸びるようにエンジン回転が上昇する無段変速特有の変速感覚の解消を狙い多段変速的に振る舞う。速度上昇に応じてエンジン回転数も高まり、前述のラバーバンドフィールはなくなる。ただし、多段変速と同じではない。

ホンダWR-V Z+公道初試乗
ホンダWR-V Z+公道初試乗

例えば、ギア固定で車速20km/hでエンジン回転数が2000rpmならば60km/hでは6000rpmになるが、WR-Vは20km/hが2000rpm、40km/hが3000rpm、60km/hが4000rpmというように速度とエンジン回転数を相関させる。

これはあくまでも喩えだが、加速しながら連続的にアップシフトを行うことで車速とエンジン回転数の相関をリニアすることで多段変速のように錯覚させている。

全開でも加速最大制御とせずに多段変速的に感じさせるために体感するアップシフト回転数に余裕を持たせている。

WR-Vあるいはホンダ特有の技術でもないのだが、その回転数制御と加減速制御が上手い。高速域の加速では余裕はないものの幅広い速度域で安定したコントロール性と伸びやかな加速感を示した。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    1986年生まれ。クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。
  • 編集

    香野早汰

    Hayata Kono

    1997年東京生まれ。母が仕事の往復で運転するクルマの助手席で幼少期のほとんどを過ごす。クルマ選びの決め手は速さや音よりも造形と乗り心地。それゆえ同世代の理解者に恵まれないのが悩み。2023年、クルマにまつわる仕事を探すも見つからず。思いもしない偶然が重なり編集部の上野太朗さんに出会う。翌日に笹本編集長の面接。「明日から来なさい」「え!」。若さと積極性を武器に、日々勉強中。

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