表紙だけでクルマ1台分の重さ? 自動車雑誌はこう作られる! 制作工程紹介

公開 : 2024.01.20 18:05

月曜早朝に出荷 読者の手元へ

そして許可が下りると、丹念に縫い合わされ、表紙が取り付けられ、サイズに合わせてトリミングされる。品質管理のため、1000部につき数部が抜かれる。

毎週月曜日の午前3時頃には印刷物が完成する。

毎週月曜の朝までにすべての部分が印刷される。
毎週月曜の朝までにすべての部分が印刷される。    AUTOCAR

その後、小売販売用と購読者用の2つのバッチに分けられる。前者はパレットに積まれ、午前4時の集荷に備えてコベントリーの配送拠点に向かう。一方、購読者向けはバーミンガムに運ばれ、月曜日の午後に郵送される。そして店頭に並ぶか、郵便受けに投函され、読者の手に渡るのだ。

このように、雑誌の印刷工程は膨大で、しかも容赦がない。今度自動車雑誌を読むときは、たゆまぬ努力を続けている多くの人々に思いを馳せてみてほしい。

ウェブサイト版ができるまで

ウェブ版の作業工程は、紙媒体とは多少異なる。ネタから記事が出来上がるまで、すべて1人の人間から迅速に行われることもあるが、ほとんどの場合、複数の人を経由する。

ウェブ版の主力となるニュース記事は、フェリックス・ペイジから送られてきて、デジタル編集者のわたしの下でSEO対策が行われる。その後、別の記者の手に渡り、副編集長に送られる。最後に、インターネット上の読者に向けて発信される。

ウェブ版では特に、速報性のあるニュース記事は展開が早い。
ウェブ版では特に、速報性のあるニュース記事は展開が早い。    AUTOCAR

速報性のあるニュースは展開が早く、副編集長が承認すれば即座に掲載できる。

雑誌とウェブ版はどちらも絶え間なくコンテンツを供給していく必要があるが、その方法はまったく異なる。紙媒体は今日ここにあり、明日には消えてしまう(登録すればデジタルアーカイブは閲覧可能)のに対し、インターネットに掲載される記事は永遠に生き続ける。

レビュー、解説、特集など、ニュース以外のものは常に最新かつ正確な情報を提供する必要がある。

この種の記事は複数の情報源をベースに作られるが、クルマのレビューは雑誌記者が書く。もし、リゾート地で高級車を運転している記者をうらやましいと思ったときは、彼らが厳しい締め切りに追われ、正しいフォーマットで書かなければメールの着信音が鳴り止まないということを思い出してほしい。

(翻訳者注:本稿はAUTOCAR英国編集部の記事作成・校正・印刷プロセスを紹介するものです。日本語版のAUTOCAR JAPANのものとは異なります)

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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