可能性は感じる ケド「宿題」も多い オモダ5 プロトタイプへ試乗 1.6Lターボの新型SUV

公開 : 2024.05.20 19:05

中国チェリーの新ブランド、オモダが欧州上陸 他メーカーへ似た雰囲気の見た目 装備は充実 インフォテインメントは要改善 磨き込みが足りない走り 英国編集部が試乗

他メーカーへ似た雰囲気のスタイリング

中国メーカーの攻勢が止まらない。チェリー自動車が、欧州での展開を前提に立ち上げた新ブランド、オモダも、グレートブリテン島への上陸が決まった。

オモダの特徴が、多くの中国勢がバッテリーEVのみの販売なのに対し、内燃エンジンを載せたモデルも擁すること。その点で、他ブランドより関心を引く可能性は高いといえる。今回試乗した5のボンネット内には、1.6Lの4気筒ガソリンターボが載っている。

オモダ5 1.6 290T ノーブル(プロトタイプ/英国仕様)
オモダ5 1.6 290T ノーブル(プロトタイプ/英国仕様)

AUTOCARでは、5の電気モーター版、E5へも試乗している。その記事をご覧になった読者もいらっしゃるだろう。まずはこの2台態勢で、英国には64か所のディーラーが用意されるという。

販売上の売りとしているのが、7年間か16万kmまでという、手厚い保証制度。2024年末には、マイルド・ハイブリッドも追加予定とのこと。廉価帯のファミリーSUV市場へ、小さくない影響を与えるかもしれない。

全長は4424mm、全幅が1830mmで、日産キャシュカイ(旧デュアリス)やフォルクスワーゲンTロックなどがライバル。ブランドの中核をなすモデルだ。

スタイリングは、過度に斬新だったり奇抜なことはなく、充分モダン。他メーカーのデザインへ似た雰囲気を感じるのは、筆者だけではないだろう。特にトヨタのデザイナーなどは、眉をひそめるかもしれない。

完成度が高くないインフォテインメント 装備は充実

車内では、ダッシュボード上のワイドなタッチモニターが目を引く。インフォテインメント・システムはアンドロイド・ベースだというが、完成度は高くない。戻るボタンはなく、グラフィックは粗めで、社外品のシステムを取って付けたように感じた。

それでも、試乗車はプロトタイプで、ソフトウエアはアップデートが控えているらしい。また、アップル・カープレイとアンドロイド・オートには対応する。

オモダ5 1.6 290T ノーブル(プロトタイプ/英国仕様)
オモダ5 1.6 290T ノーブル(プロトタイプ/英国仕様)

トリムグレードは2段階あるが、ベースとなるコンフォート・グレードでも、ハーフレザーのパワーシートにはヒーターが内蔵され、冷却機能付きのスマートフォン・ワイヤレス充電パッドも標準だ。アンビエントライトも備わる。

その上のノーブル・グレードを選べば、サンルーフと360度カメラなどが追加される。真っ赤なブレーキキャリパーも。試乗車はこれで、英国価格は2万7000ポンド(約518万円)が想定されているそうだ。

後席側の空間は充分広いものの、足元は限定的。身長が180cmを超えるような大人には、狭く感じられるとは思う。

荷室容量は370L。同クラスの英国での売れ筋、フォード・プーマより150Lほど小さい。ただし床下にも収納があり、奥行きは浅いものの、実際はそこまで狭くは感じられなかった。スペアタイヤも載っている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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