ちょっとクセが強すぎかも? オラ07 試作車へ試乗 モデル3へ並ぶ航続距離 欧州で販売へ

公開 : 2024.05.11 19:05

中国GWM傘下のブランドが、新型サルーンを欧州で発売 モデル3へ劣らない航続距離 0-100km/h加速は4.5秒 不自然なスタイリングでもインテリアの質感は高い 英国編集部が評価

モデル3へ並ぶ航続距離 0-100km/h加速4.5秒

2024年の夏に、新しい中国製バッテリーEVが欧州で発売される。従来までファンキーキャットを名乗っていた、ハッチバックの03の後を追うように、中型サルーンの07がグレートブリテン島への上陸を果たす予定だ。

オラというブランドの親会社は、GWM(グレート・ウォール・モーター)。個性的なスタイリングをまとい、想定されている英国価格は約3万5000ポンド(約672万円)から。駆動用バッテリーは、正極材がLFPの64kWhか、NMCの83kWhが選べる。

オラ07(プロトタイプ)
オラ07(プロトタイプ)

この07は、中国本土ではオラ・ライトニングキャットという名で2021年に発売済み。現地では一定の評価を集め、ブランドの販売回復へ大きく貢献したという。それでも、2023年の販売数は9000台ほど。欧州市場への展開で、さらなる飛躍を目論んでいる。

航続距離は、最もエネルギー効率に優れる仕様のWLTP値で569kmが主張される。これは、テスラ・モデル3のロングレンジに劣らない数字だ。

トップグレードのGTの場合、ツインモーターでの最高出力は407ps、最大トルクは69.1kg-mと、動力性能も充分。0-100km/h加速は4.5秒、最高速度は180km/hがうたわれる。

今回、筆者が中国・北京で試乗した07は、ほぼほぼの英国仕様だという。左ハンドルではあったけれど。

不自然なプロポーション インテリアの質感は高い

実車を目の当たりにすると、プロポーションは写真以上に不自然でクセが強い。丸いヘッドライトも、ちょっと不釣り合いに見える。03をひと回り大きくしたものとも異なる印象を、筆者は受けた。

チーフデザイナーを努めたアンドリュー・ダイソン氏も、スタイリングを強みとするサルーンではないことを認めている。そのかわり、3年間金利0%のローン設定や優れた標準装備などで、欧州のユーザーを獲得したいとしている。

オラ07(プロトタイプ)
オラ07(プロトタイプ)

07には、バックカメラやヒーター内臓の合成皮革パワーシート、アダプティブ・クルーズコントロールなどが、ベースグレードから備わる。短くない航続距離も、強みになるだろう。

車内は、車格なりに広い。各所に小物入れが用意され、大人4名が快適に長時間過ごせる空間を得ている。開放的な雰囲気で、内装の質感も高いと感じた。

インテリアにも独特の美学があるものの、質感はかなり高い。合成皮革の風合いは悪くなく、センターコンソールの膨らみが特徴的。シートの座り心地は良いようだ。

ドライビングポジションは、やや高め。筆者の身長は180cmほどあるが、座面を1番低い位置へ調整しても、頭が天井に迫るようだった。

観察はこのくらいにして、07を発進させてみよう。オラは、03から走りを改善させたと主張している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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