アルピナの「味」を言語化 SUVにも? XD3で感じた「新しい古典」

公開 : 2023.10.27 15:40

スロットルで掌握するドライバビリティ

今回、高速ワインディングではXD3のSUVらしからぬロール剛性の高さと、フラットな姿勢という一見相反するような挙動を楽しむことができた。

リムジン系のアルピナとバネレート自体は似通っているのだが、XD3はショックアブソーバーの縮み側が素早い印象で、コーナーで強めに踏ん張っている最中でも継ぎ目からの入力をスッと往なすことができる。

一方、コーナーからの脱出では歴代のアルピナに通じるスポーティなマナーが感じられた。スロットル開度に比例して排気音が少しだけ存在感を増し、リア寄りにセットされた前後トルク配分とリアデフに仕込まれた電子制御LSDによってFR的な、つまりスロットル操作でコーナリングを掌握するようなドライバビリティを体感することができた。

これまでXD3の試乗でこなしたことがある距離は東京から箱根か富士五湖くらいがせいぜいだった。そのくらいのマイレッジだと、動的質感を感知することに集中できる。

一方今回のようにさらに距離を伸ばすとどうなのか? アダプティブクルーズのスイッチを入れ、少しシートの背もたれを寝かしつつ、物思いにふける余裕が生まれるのだ。

例えば、現行アルピナの中にあってXD3の突出したポイントはどこにあるのか? 

そんなことに思いを巡らせる。それこそロングドライブのメリットに違いない。

アルピナXD3 公式サイトをみる

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    1986年生まれ。クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。
  • 編集

    上野太朗

    Taro Ueno

    1991年生まれ。親が買ってくれた玩具はミニカー、ゲームはレース系、書籍は自動車関連、週末は父のサーキット走行のタイム計測というエリート・コース(?)を歩む。学生時代はボルボ940→アルファ・スパイダー(916)→トヨタ86→アルファ156→マツダ・ロードスター(NC)→VWゴルフGTIにありったけのお金を溶かす。ある日突然、編集長から「遊びにこない?」の電話。現職に至る。

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