スパイダーでPHEVのスーパーカー マクラーレン新時代 アルトゥーラMY25発表でオープンモデル追加

公開 : 2024.03.05 07:05

魅惑的なシルエット

新型スパイダーは、リトラクタブル・ハードトップ(RHT)の導入とそれによる変更にもかかわらず、ひと目でアルトゥーラだと分かる視覚的デザインとアーキテクチャーだ。

「シュリンクラップド」を思わせるボディワークの造形/トレードマークの「ハンマーヘッド」ノーズ/フロント・フェンダーと一体化したルーバー/ヘッドライトのエア・インテークなど、すべて見覚えがあると同時に目を引く特徴であるとマクラーレンは述べる。

マクラーレン MY25アルトゥーラ/アルトゥーラ・スパイダー
マクラーレン MY25アルトゥーラ/アルトゥーラ・スパイダー

ディヘドラル・ドアも同様で、狭い駐車スペースでも乗り降りしやすいよう、ボディに沿って開く。とはいえコンバーチブルである新型スパイダーのビジュアルには、疑問の余地なくスーパーカーであると分かる完全に独自の個性があるとマクラーレンは強調した。

その中心となるのがRHTシステムであり、まったく新しいバットレスには、ロールオーバー構造が組み込まれている。ガラス張りの部分もあり、後方視野を向上させると共に、エンジンベイ周辺へ気流を導く役割も同時に果たすという。

両バットレスの間に位置するヒーターガラスのリア・スクリーンは、ボタンひとつで昇降するので、ルーフ開放時に快適性を最適化することも、ルーフ閉鎖時にエグゾースト・サウンドをキャビンに響かせてドライバーとの一体感を高めることもできる。

「ホットV」からのチムニーを含むパワートレインの冷却ベントは、クーペに比べて後方に位置しており、これは、RHTメカニズムとトノカバーを収めるためである。ルーフを開閉する際に持ち上がって位置を変えるトノカバーは、軽量なカーボン・コンポジット製ストラクチャーを持ち、希望があれば追加料金でグロス・カーボン・ファイバー仕上げにも変更が可能だ。

リトラクタブル・ハードトップ自体は、カーボン・ファイバー・コンポジットの1枚パネルだが、代わりにエレクトロクロミック・ガラスパネルも選択可能となる。その場合、ボタンひとつでキャビンを明るくすることも、日光を最大99%さえぎることもできる。

マクラーレンは、アルトゥーラ・スパイダーのエレクトロクロミック・ガラスに先進的な懸濁粒子デバイス(SPD)技術を採用し、最も暗くした際にキャビンへの熱伝導がさらに抑えられ、太陽のエネルギーを96%以上さえぎるので、車内は最大限涼しい状態に保たれるとしている。

RHTシステムは、8個のモーターを使ってほとんど無音で作動する。2個のモーターがルーフパネルを折り畳み、2個がリア・トノカバーを昇降、2個がトノー・バットレス先端のエアロカバーを制御。さらに1個がリア・ウィンドウの昇降を、残る1個がRHTのラッチ機構を担うという。ルーフの開閉は、キャビン内の頭上にあるコントロール・パネルに加え、静止中なら車両のキーでも操作できるため、車外にいても開閉が可能となった。

新型アルトゥーラ・スパイダーでは、パワートレイン冷却のための空気熱冷却システムが新たにデビューしている。これには、RHTのパッケージングを可能とし、乗員に当たる風を低減する効果もあり、新たな空気熱コンセプトは、4つに分割されたダクトシステムを利用する。

クーペとの違いは、2個のリア・デッキ吸気口がある点で、熱間プレス成形の一体型リア・アッパーボディの外寄りに位置するこのシステムは、パワートレイン冷却用の両吸気口と、RHTの格納エリア、高温の空気の排出口で構成される。

これらの間に、パワートレインからのチムニーと、気流マネージメント用の吸排気口があり、アルトゥーラ・スパイダーのバットレスは、モータースポーツで使用される透明のポリカーボネートが使われており、クーペより彫り込まれたビジュアルだ。これは、トノカバーに隠れたダクトへ冷たい空気を導くためである。

加えて、ルーフの形状も、位置が変更されたチムニーへ空気を導くよう設計されており、パワートレインからの熱い空気の流れを加速させる。さらにはウィンドスクリーン・サラウンドにまで手が加えられ、小型のガーニーフラップが組み込まれた。これは、ルーフを格納した際に車内の風を低減するよう精巧に造形され、この軽量な空力ソリューションは、アルトゥーラ・スパイダーに注がれた徹底的な細部へのこだわりを象徴しているとマクラーレンは語った。

キャビンは、クーペと同じ機能的なドライバー中心のデザインを受け継いでおり、内張りは、ドライバーの好みでパフォーマンス中心かラグジュアリー中心の素材から選ぶことが可能だ。ステアリング・ホイールは「クリーン」で、ボタンやスイッチが一切存在しない。あるのは造形されたシフトパドルだけで、ステアリングと一緒に動くため、人間工学的にドライバーにとって最適だ。

ドライバー・ディスプレイのビナクルは、前後と傾きを調整する際にコラムと一緒に動くので、すべての走行情報が常にドライバーの目線の先に表示され、また、ハンドリングとパワートレインのモードを選択するスイッチもここに配置されているため、EV走行とハイブリッド走行の簡単な切り替えなど、ステアリング・ホイールから手を離すことなく変更が可能となる。

ビナクルのディスプレイに表示する内容は、主要な情報に絞り込んで、ドライバーの注意を削ぐ要素を最小限にしている。さらに、不必要な内容を隠して注意散漫を抑え、前方の道路に完全に集中するよう促すステルスモードも存在する。

ほとんどの市場で、革新的なマクラーレン・クラブスポーツ・シートを標準で装備する。クラブスポーツ・シートは、楕円の弧を描いて調整され、背もたれが動くシートと同様の可動範囲に加えて、バケットシートの軽量さとサポート力も兼ね備えるため、公道とサーキットのどちらにも最適だという。

これには、調整可能なランバーサポートも追加可能で、もっと伝統的な形状でアルトゥーラにふさわしいスポーティーなシートを望む顧客は、メモリー機能とヒーターを備えた電動調整式の快適なシートを選択することも当然可能である。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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