ベントレー最後の「W12」を堪能 フライングスパー・スピードでザ・マッカランへ(1) 僅か120台限定

公開 : 2024.04.13 09:45

いい意味でドラマ性はまったくない

1日に数100kmも運転する朝となれば、深呼吸してこれからの長丁場へ構えるだろう。カーナビには、正確に目的地を登録するはず。しかし、相棒がフライングスパーなら話が違う。

W12エンジンを搭載したビッグサルーンは、悠々とアスファルトを滑走すると知っている。リラックスしたままシートへ座り、数時間後、リラックスしたままシートから立ち上がれた。

ベントレー・フライングスパー・スピード・エディション12(英国仕様)
ベントレー・フライングスパー・スピード・エディション12(英国仕様)

ザ・マッカラン蒸溜所までのロードトリップは、最後まで平穏だった。特筆することがなかった、といっても良い。穏やかな時間が、ただ過ぎていった。

クルーにあるベントレーの工場から北へ出発したが、600kmほどは、高速道路と幹線道路。スピード違反を取り締まるカメラが路肩に点在し、気持ちを鎮めて走るしかない。

初めは朝のラッシュアワーに揉まれ、マンチェスターからはM6号線に合流。フライングスパー・スピード・エディション12は淡々と北上を続け、イングランドからスコットランドへ。道は、A74号線へ切り替わった。

早起きして、遠くまでクルマを運転するのは楽しい。午前10時をすぎるまでに、240kmも進むことができた。W12エンジンは、高速道路の速度域でも、アイドリングより少し上の回転数でこと足りる。いい意味で、ドラマ性はまったくない。

エディンバラの北からA9号線へ入り、スコットランド北部を結ぶ「モルトウイスキー街道」、A95号線へ合流する。恐らく大昔と変わらない、風光明媚な景色が周囲に広がる。低い位置から太陽が照らし、一帯を輝かせていた。

この続きは、フライングスパー・スピードでザ・マッカランへ(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

フライングスパー・スピードでザ・マッカランへの前後関係

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