密かに進んだV8エンジン化 ハンバー・インペリアル V8(1) 紆余曲折で失ったスピード 試作の機運を強めたローバー

公開 : 2026.10.17 17:45

253psの5.2Lユニットで197km/hを達成

試作第1号のSC1には318cu.in、5.2Lで253psを発揮するV8エンジンが載り、197km/hの最高速度を達成。だがテストコースでの試走では、バンクカーブで苦戦した。僅か4周で、ダンロップ・タイヤを擦り切らせたという。

そこでハンバーは、計画を再調整。ひと回り小さい273cu.in、4.5LのV8エンジンをオプション設定するという方針へ改められる。SC2とSC3はこの仕様で試作され、MTの設定は見送られ、ATのみの提供も決まる。

ハンバー・インペリアル V8(1966年/プロトタイプ)
ハンバー・インペリアル V8(1966年/プロトタイプ)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

パワーステアリングが標準装備で、オルタネーターはクライスラー社製ではなく、英国での整備を踏まえルーカス社製を採用。最高出力は221psで、最高速度は189km/hに届いたが、テスト走行ではピストンの焼付きやガスケット抜けなどの不安が残った。

また、ラジエターやプロペラシャフト・ジョイント、エグゾースト、オイルクーラーなどは、アップグレードが必要だと確認。バッテリーの位置変更や、リアタイヤの挙動を安定させるべく、ラジアスアーム付きリアアクスルへの強化も不可欠とされた。

度重なる調整で速いサルーンではなくなった

ハンバーは、1965年12月から1966年1月に量産仕様が仕上がると公表。それまでに、サスペンション・スプリングやダンパーの最適化、タイヤのワイド化も決定された。ボディには、差別化として「ハンバーV8」のエンブレムが貼られることも。

その後、インペリアルはV8エンジンを標準とし、スーパー・スナイプではオプションへ改定。クルーズコントロールやエアコン、パワーウインドウの標準化も検討された。

ハンバー・インペリアル V8(1966年/プロトタイプ)
ハンバー・インペリアル V8(1966年/プロトタイプ)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

1966年1月に仕様は再調整され、最高出力が152psへ落とされつつ、パワーウインドウとエアコンは装備から削除。クライスラーのV8エンジンは燃費が優れず、100オクタン価以上のガソリンが必要で、最終的に直列6気筒エンジンの必要性が再浮上する。

高効率化で、キャブレターは4バレルから2バレルになり、最高速は167km/hへ低下。0-97km/h加速は直6エンジン版より4秒鋭くても、速いサルーンではなくなっていた。

この続きは、ハンバー・インペリアル V8(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーティン・バックリー

    Martin Buckley

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ハンバー・インペリアル V8の前後関係

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