錆びやすい過剰設計ボディ ホーク・エステートとスーパースナイプ(1) 戦前が香るハンバー

公開 : 2025.08.31 17:45

上級ワゴンの先駆けといえたホーク・エステート 著名人に選ばれたスーパースナイプ 過剰設計でも錆びやすいボディ 戦前の香りが否めないシャシー UK編集部が個性の強いハンバーを振り返る

過剰設計の水準にあった錆びやすいボディ

ザ・ビートルズが世界を湧かせる前、英国の自動車ブランドは上級サルーンでしのぎを削っていた。ジャガーベントレーに劣らない華やかさを、フォードヴォグゾール(英国オペル)は市民へ提供した。今回取り上げる、今はなきハンバーも。

4気筒エンジン版はホークで、格上の6気筒版はスーパースナイプを名乗った。3.0Lエンジンのローバーほど高級ではなくても、広々としたキャビンが快適なファミリー・ドライブを叶えた。ボディは錆びやすかったが、過剰設計といえる水準にあった。

ハンバー・スーパースナイプ・シリーズV(1958〜1967年/英国仕様)
ハンバー・スーパースナイプ・シリーズV(1958〜1967年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

ルーツ・グループのブランドとして、ホークとスーパースナイプは初のモノコック構造を採用。ロンドンでプレスされたボディシェルは、北西へ150kmほど離れたウォリックシャー州へ運ばれ、組立作業が進められた。

ちなみに、オーストラリアとニュージーランドでノックダウン生産されてもいる。

ワゴンボディを担当したカーボディーズ

他方、その頃目新しかったステーションワゴンを組み立てたのは、ロンドンタクシーで有名なカーボディーズ社。最大積載量385kgの秀でた利便性と引き換えに、価格は200ポンド上乗せされた。

トランスミッションは、追ってオートマティックも登場するが、コラム・マニュアルが標準。スーパースナイプは、1800rpmから得られた充分なトルクを武器に、3速のみ。ホークには4速が組まれ、オーバードライブで回転数を抑えることもできた。

ライト・グリーンのハンバー・ホーク・エステート・シリーズIVと、ダーク・グリーンのハンバー・スーパースナイプ・シリーズV
ライト・グリーンのハンバー・ホーク・エステート・シリーズIVと、ダーク・グリーンのハンバー・スーパースナイプ・シリーズV    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

スーパースナイプには、オプションでパワーステアリングを設定。3Lエンジン以下の英国車としては、初めてだった。

スタイリングは、アメリカ車への影響を隠さないもの。ささやかなテールフィンとクロームメッキ・トリムで飾られたボディは上品と呼べたが、1950年代風で、流行の先端ではなかった。長いホイールベースが、広い車内空間を実現していても。

戦前の香りが否めないシャシー

エンジンは鋳鉄製。後輪駆動ながら、搭載位置はフロントアクスルの前寄りで、リジッドのリアアクスルはリーフスプリングで支えられた。東アフリカ・サファリラリーなどで一定の活躍を残すものの、エキサイティングな操縦性は期待させなかった。

1957年発売の、ホーク・シリーズ1に積まれた4気筒は2267cc。1948年登場の先代譲りだったが、点火を制御するディストリビューターの位置が変更され、ボンネットの高さを低くすることができた。

ハンバー・スーパースナイプ・シリーズV(1958〜1967年/英国仕様)
ハンバー・スーパースナイプ・シリーズV(1958〜1967年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

サスペンションは、フロントがウィッシュボーン式。ゴムマウントを挟んだサブフレームで支持され、ノイズが抑えられた。タイヤはホワイトウォールが標準。シャシーの注油ポイントが20か所もあり、戦前の香りは否めなかった。

翌1958年に登場したのが、106psで過不足のない動力性能を備えた、6気筒のスーパースナイプ。ボディはホークと共有しつつ、上級モデルとしてクロームメッキの数を増やし、ヒーターが標準装備された。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーティン・バックリー

    Martin Buckley

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ホーク・エステートとスーパースナイプの前後関係

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