岐路に立つトヨタ英国部門 サプライチェーン再編と電動化で揺らぐ2つの工場 EUとの関係、中国製EVへの輸入関税が鍵に
公開 : 2026.10.21 07:25
トヨタの英国部門はサプライチェーンの再編と電動化への移行を進めています。その影響で、エンジンを生産するディーサイド工場と、『カローラ』を生産するバーナストン工場の将来に疑問が投げかけられています。
予測しづらい英国部門の将来性
英国の北ウェールズにあるトヨタのディーサイドエンジン工場の隣には、工場本体よりも広い空き地がある。1992年の操業開始以来、将来の拡張に備えて現在もトヨタが所有し続けている。
一方、線路を挟んだ向かい側には、ディーサイド工場のカーボンニュートラル目標達成に向けて、ガスおよび電力需要を賄う新しいバイオメタンプラントが建設されている。

トヨタが英国で今後どのような計画を立てているかを読み解く上で、これらは前向きな材料と言えるだろう。
いずれにせよ、トヨタの英国部門は岐路に立っている。ダービーシャー州のバーナストン工場で生産されている『カローラ』は、発売から8年が経過し、フルモデルチェンジの時期に近づいている。一方、ハイブリッドのカローラや『C-HR』向けの1.8L ZRエンジンは、2008年からディーサイド工場で生産されている。
次世代カローラはハイブリッドモデルに加え、EVモデルもラインナップされる予定である。急速に変化する市場環境の中で、トヨタは長期的な決断を迫られている。
ある幹部によると、バーナストン工場をEV生産に転換するには「数十億」の費用がかかるという。また、EVの販売台数は増加傾向にあるが、それは構造的な変化なのか、それとも一時的な急増に過ぎないのか、という問題もある。
EUへの輸出障壁、中国車との競争
トヨタのハイブリッド車は現在、英国では2035年まで新車販売が可能だ。2030年にはEV販売比率80%が義務付けられているが、同社はこれが50%に引き下げられることを期待している。しかし、事業計画を数十年単位で策定する企業にとって、2035年はあっという間にやってくるだろう。
一方、主要な輸出市場である欧州連合(EU)との現在の関係は、控えめに言っても流動的だ。2029年の英国総選挙で保守党やリフォームUKが勝利すれば、融和の兆しは再び閉ざされてしまう可能性がある。

さらにコストの問題もある。西欧諸国での生産コストの高騰により、生産拠点は東へシフトしている。トヨタは現在、ポーランド、チェコ、トルコで工場を運営している。
英国にあるトヨタの工場は、現地のサプライチェーンから切り離されつつある。同社はかねてよりハイテク部品を日本から輸入することを好んできたが、今では基本的な部品さえも輸入せざるを得なくなっている。ディーサイド工場で生産される1.8Lエンジン向けの部品は、現地のサプライチェーン縮小にともない、英国からの供給はゼロとなっている。
中国ブランドの勢力が強まるにつれ、トヨタの英国での販売は減少しており、9月には14%減となった。しかし、英国政府が中国製EVに追加の輸入関税を課す可能性も報じられており、実現すれば国内での競争緩和と同時に、EUへの輸出障壁の低減につながる。トヨタにとっては好材料と言えるだろう。






































