■「買い」か?

真正面からこのクルマと相対して、はっきり「買いじゃない！」と言い切るジャーナリストはいないだろう。ただ “メルセデス感” の違いから来る「買って失敗した」というケースがないとは言い切れない。実際、筆者は現在の愛車も含めて4台のメルセデスと付き合ってきたが、そのメルセデス好きの延長線上にこのクルマがあるかといえば、はっきり「ない」と言い切れる。メルセデスに期待するものが、一過性の目新しさとかドライビングの愉しみ云々ではないと思っているからだ。

CLAシューティング・ブレークを買う予算があったら、マイナーチェンジ後とかモデル末期のCクラスを買って長く乗る。今どき、初期モデルはトラブルが多いとは思わないけれど、メルセデスがマイチェンでグッと完成度を高めてくるのは事実だ。そしてやはりエンジン横置きのクルマは、構造とコスト両方から考えてヤレの進行にバラつきが出やすく、長く乗りたいという期待に応えられない。

一方、CLAシューティング・ブレークが我が国の市場にとって現実的といえる点は、全長4.64m、全幅1.78mというボディサイズであり、これは以前のCクラス・ワゴンに近い。

輸入車はベーシック・モデルがベストバイと言われることが多いが、どうしてもCLAシューティング・ブレークが欲しい、という向きには現段階のトップモデルであるCLA250シュポルト4マティックがお奨めだ。ロングライフの部分はなんとも言えないのだが、街中を低速で走っていても、旧来のメルセデス党を「なるほど」と思わせる要素が多分に含まれていたからである。

(文・吉田拓生　写真・花村英典)

メルセデス・ベンツCLA180シューティング・ブレーク・スポーツ

価格	4,280,000円
乾燥重量	1500kg
エンジン	直列4気筒1595ccターボ
最高出力	122ps/5000rpm
最大トルク	20.4kg-m/1250-4000rpm
ギアボックス	7速オートマティック