プジョー・ピッパー・ティピー・アウトドアHDi75

公開 : 2013.02.13 15:44  更新 : 2017.05.29 19:01

■どんなクルマ?

おそらくヨーロッパで最も小さなサイズ、つまり4メートル未満で大人4人を載せ、なおかつ充分なヘッド・クリアランスとニー・スペースを持つキャリアがプジョー・ビッパー・ティビーだ。PSAプジョー・シトロエンフィアットと共有するデリバリーバンをベースとしているが、デリバリーバンと異なるのはリアのスライディング・ドアが後部座席の住人のためにあるということである。

フランスの2つのメーカーは、20年以上も前にデリバリーバンをベースとしたマルチ・スペース・モデルで成功を収めている。シトロエン・ベルランゴとプジョー・パートナーだ。最新のベルランゴ/パートナーはより大きくより豪華になったため、その下のクラスのモデルとしてプジョー・ビッパー/シトロエン・ネモがラインナップされたというわけだ。

■どんな感じ?

下顎の付き出した人を喰ったようなデザインが大きな特徴。トリムはSとアウトドアの2つが用意される。両モデル共に、フィアットからデリバリーされる75bnpの1248ccのターボ・ディーゼル・エンジンを搭載する。アイドリング・ストップのない5速マニュアル・ギアボックスか、900ポンド(13万円)のオプションとなる5速のクラッチレス電子制御マニュアルを選ぶことができる。ちなみに、クラッチレス・マニュアルの場合、そのCO2排出量は通常の5速マニュアルの119g/kmから107g/kmに、燃費も22.2km/ℓから24.3km/ℓに向上する。

実際、今回テストしたシティ・ロードおよびハイウェイでのおよそ800kmの実際の燃費は、5速マニュアル・モデルで18.4km/ℓとなかなかの好成績であった。

前後ともシート・ポジションは身体をかなり起こしたスタイルで、シート自体は非常に固い。また、トリムの多くは硬質のプラスティック製だ。それでも必要最小限の装備はされており、リモート・センター・ロック、ワンタッチ・フロント電動ウインドー、ヒーテド・ミラー、ESPシャシー・スタビリティ・コントロールなどは標準だ。

一般道では、その乗り心地は足の固いパンダといった感じだ。

小さいディーゼル・エンジンは5速ギアボックスを駆使して回してやらないと駄目。街中の流れに乗るためには、常に集中してパワーを使いこなすようにしなければならない。そうすれば、0-100km/h加速16.8秒というこのクルマには充分なパフォーマンスを得ることができる。ちなみに、クルージングでは、思ったよりもうるさいといった感じはしなかった。

ステアリングは正確で使い易い。しかし、低速時の乗り心地にはパッセンジャーの何人かから不満が出たのも事実だ。少なくとも、ビッパーには洗練という言葉はない。

■「買い」か?

スーパーミニよりも小さいサイズで、大人4人が乗れ、荷物も収納できるという点はビッパーの強みだ。しかし、基本がデリバリーバンであるということを考えると、その価格は高く感じる。それに、フォードBマックスのような洗練されたクルマをチェックしないで、このクルマを買うというのはクレイジーなことだ。残念ながら、その快適性ではプジョーはフォードの敵ではないようだ。

(スティーブ・クロプリー)

プジョー・ピッパー・ティピー・アウトドアHDi75

価格 13,345ポンド(195万円)
最高速度 155km/h
0-100km/h加速 16.8秒
燃費 22.2km/ℓ
CO2排出量 119g/km
乾燥重量 1200kg
エンジン 直列4気筒1248ccターボ・ディーゼル
最高出力 75bhp/4000rpm
最大トルク 19.4kg-m/1750rpm
ギアボックス 5速マニュアル

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