英国ツーリングカー選手権の中継 実況担当に密着 舞台裏さぐる 秘密は5つのルール

公開 : 2019.09.23 18:50

レースごとに100万人近い視聴者を集めるBTCCレース中継の舞台裏に密着しました。BTCC中継の顔とも言えるスティーブ・ライダーにとって、事実をありのままに伝え、決して誇張することなく、彼の5つのルールを忘れなければ、予測不能なレースも問題ではない様です。

見ごたえあるレース 今日の目的は別

ハンプシャーのアンドーヴァー近郊、スラクストンサーキットには薄日が差し込んでいた。天気予報によれば午後の降雨確率は25%とのことだ。

今年のBTCC(British Touring Car Championship:英国ツーリングカー選手権)第3シリーズを観戦しようと多くのファンが詰めかけており、今日はこのサーキットで7戦と8戦、さらには9戦が行われることになっている。

テール・トゥ・ノーズのバトルがBTCCの真骨頂だ。
テール・トゥ・ノーズのバトルがBTCCの真骨頂だ。

今シーズンは10メーカーから30台が出場しており、昨日行われた予選では1秒以内に20台がひしめき合う接戦を演じている。5人の元チャンピオンと18人の優勝経験者が登場するレースは、見ごたえのあるものになるはずだ。

平均時速177km/h以上、コースきっての高速コーナーであるチャーチコーナーへは249km/hものスピードで飛び込んでいくここスラクストンで使用されるのは、唯一ハードコンパウンドのタイヤだけとなる。

激しい戦いが保証されているにもかかわらず、今日われわれがここに来たのはレースを観戦するためではない。今日の目的は、ライブ中継とハイライト放送、さらにはオンラインでの視聴者数を合わせれば、シーズンを通じて1レースあたり約100万人が見るというITVによる中継の舞台裏を取材することにあるのだ。

BTCC中継の顔 厳格な正義の場

今日は実況担当のスティーブ・ライダーと1日を共にする予定だが、ライダーは少なくとも四半世紀にわたるBTCC中継の顔であり、毎年BBCが優れたスポーツ解説者を選ぶ賞の授賞式で注目された1970年代以降、英国を代表するスポーツ中継のパーソナリティーとして活躍している。

いまやこのBTCC中継はライダーの代名詞ともなっており、スポーツ中継を行うものなら誰もが憧れるその安定感で、何が起こるか分からないこの難しい中継をなんなくこなしている。

ライダーは実況をハーベイ(真ん中)とオニールとともに行う。
ライダーは実況をハーベイ(真ん中)とオニールとともに行う。

最初に呼ばれたのは、パドックのなかでも人目を引くBTCC主催者、TOCAのテントだったが、すぐそばにはBTCCの最高責任者、アラン・ゴーがふざけて偽の英国歴史遺産表示を行った古びたスラクストンのコントロールタワーがそびえ立っており、その銘板はいまも残されたままだ。

ゴーはその厳格な管理手法で名を知られており、必要な場合を除けば、つねに親しみやすく直接的な物言いをする。テント裏には限られた人物だけが出入りを許された、さらにミステリアスなTOCAのバスが停まっており、ここではレースルールに抵触したドライバーが査問を受ける場所として、ゴーと専門家が構成する委員会が厳格な正義を執行している。

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