英国ツーリングカー選手権の中継 実況担当に密着 舞台裏さぐる 秘密は5つのルール

公開 : 2019.09.23 18:50

5人で担当 リハーサルなど不要

今日の中継は5人が担当する予定だが誰もが忙しそうにしている。これまで一度も成功したことはないが、視聴者の関心を引き付けておくには、多様な登場人物とともに、迅速な場面と話題の転換が不可欠であることに突然気付かされた。

ライダーは溌溂とした様子でピットレーンレポーターを務めるルイーズ・グッドマンと話し始めたが、彼女もF1中継でよく知られた存在だ。コースコメンテーターのデビッド・アディソンも時折話に加わっている。

グッドマンもITVフォーミュラ1中継のベテランだ。
グッドマンもITVフォーミュラ1中継のベテランだ。

レースそのものの解説は彼と元レーサーのティム・ハーベイが担当し、時おり現役のポール・オニールが登場することになる。

メルセデス・スプリンターでは中継の準備が開始されたが、ライダーにはリハーサルなど必要無い。

車両上の中継台からグリッドへと移動すると、ライダーは今日のスケジュール紹介を始めた。「2019年Kwik Fit英国ツーリングカー選手権の第3シリーズへようこそ。ハンプシャーにあるかつて飛行場だったこの有名な歴史あるスラクストンサーキットで今年2度開催されるシリーズの最初であり・・・」

お馴染みの名調子 中継スケジュールも決定

完ぺきな様子でお馴染みの名調子が続いているが、事実をありのままに伝え、決して大げさなところのないライダーが多くの視聴者を惹きつけるのも当然だろう。

11時13分30秒ちょうどに放送は始まるが、シナリオのないレース中継にもかかわらず、驚くべき早さで作業は進んで行く。序盤はほとんど解説の必要がないため、この日の放送で最大の困難のひとつが、冒頭の中継にあることは明らかだった。

秒単位で中継スケジュールが記された台本。
秒単位で中継スケジュールが記された台本。

その結果、レースの内幕や昨日の予選結果、サクセスバラストと呼ばれるランキング上位のマシンに対する重量ハンディキャップの状況、活躍が期待できるレーサー、さらにはチャンピオン争い(数多くのチームやドライバー、プライベーターたちにチャンスが残されている)についての話題が多く語られている。

30分もしないうちに今日の中継スケジュールが決められたが、2回のコマーシャルブレーク(合計9分30秒だ)に加え、最近亡くなった1958年初開催のBTCC優勝レーサー、トミー・ソップウィズの追悼特集も放送されることとなった。

ドライバーもフレンドリー 中継は順調

さらに、ITVで放映予定の全仏オープンテニスの番組宣伝も行うとともに、グッドマンが女性レーサーの活躍を紹介しており、ライダーとオニールが、ルノーチームのドライバー、ジェイド・エドワーズに男性レーサーに勝利したときの感想を質問している。こうした中継の様子は、「流れるように」としか表現できない。

最初のレースのスタート時刻、12時10分が近づくと、ようやく落ち着くことができた。

ITVのBTCC中継はレースごとに100万人ほどの視聴者を惹きつける。
ITVのBTCC中継はレースごとに100万人ほどの視聴者を惹きつける。

グッドマンは慣れた様子でグリッドを歩き廻りながら、慣れた様子でドライバーたちと話しているが、彼らはF1レーサーに比べはるかにフレンドリーだ。

フォーメーションラップに続いてレースがスタートすると、アンドリュー・ジョーダンがドニントンでのクラッシュを帳消しにする勝利をBMWにもたらすことに成功している。スラクストンはホンダ向きのサーキットだと考えられていただけに、この勝利の持つ意味は大きいだろう。

中継はスムーズに進んでいるようだ。スタッフは昼食を片手にしながらも、ミニやF4、ジネッタのレース展開からも目を離すことはない。ライダーとグッドマンは表彰台に上ったドライバーたちに感情移入しながらインタビューを行っている。

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