ポルシェ・パナメーラとの関係性も深い

とはいっても、グループ企業との関わりが一切ないというわけではない。主要構造、特にリアサスペンションまわりは、ポルシェ・パナメーラとの関係性が深い。

ベントレーの関係者によれば、グループ内で次期大型モデルの計画が立てられた際、早い段階でベントレーの要望を取り入れることができた点を評価していた。フライングスパーのフロントガラスの前方、強固なフロントセクションは、新しいコンチネンタルGTとの近似性も高いのだ。

アピアランスは美男な野獣。先代よりもフロントとリアのフェンダーは筋肉質になり、引き上げられた性能を物語る。足元には21インチか22インチの大きなホイール。ホイールベースは、新しいコンチネンタルGTと同様に152mmほど伸ばされた。

エクステリアデザインはベントレーの期待を裏切らない仕上がり。カット・クリスタルのようなディティールが与えられた円形のLEDヘッドライトに、光が渦を巻くテールライト。ロールス・ロイスのライバルモデルらしく、フライングBと呼ばれるボンネットの先端にはマスコットが光る。

インテリアは、ベントレーのラグジュアリーのすべてが表現された空間。オーナーが欲するであろうすべての素材やカラーバリエーションが用意され、個別にコーディネートのアドバイスもしてくれる。ベントレーに欲しいと思えるすべてを実現してくれるだろう。

飛ぶようにスムーズに道が流れる

新しいダッシュボードのデザインは翼がテーマ。コンチネンタルGTにも採用される、反転式のモニターが中央にレイアウトされる。従来的な3連のアナログメーターと、12インチのモニターとを切り替えることが可能だ。

デザイナーはリアシートの快適性にも最大限の努力をした。取り外し可能なタッチモニター式のコントローラーを用意。ブラインドやエアコン、マッサージ機能や照明の調整ができる。10スピーカーを備える、バング・アンド・オルフセン製の1500Wサウンドシステムは標準装備。不満ならネイム・オーディオ社による19スピーカー、2200Wのシステムも選べる。

路上でも二面性を実感する。エアサスペンションにより、ほぼ無音のまま滑空するように走る。もし気に入らなければ設定を変えれば良い。コーナリング時のボディロールも、電気モーターが制御するアンチロールバーが抑え込み、ほぼ発生しない。

フライングスパーを発進させれば、まさに飛ぶようにスムーズに道が流れる。まったく不器用さを感じることもないはず。

先の4輪操舵システムだが、低速走行時には逆位相に向きを変える後輪のおかげで、素晴らしく小回りが効く。一方で高速走行時で過剰に介入されるような印象も一切ない。安定性がさらに高められているだけだ。筆者にとってほぼ完璧なステアリングフィールだったから、難しく考えないことにした。

画像　フライングスパーとコンチGT　全131枚