飛ぶように流れるように 新型ベントレー・フライングスパーに試乗 635ps

公開 : 2019.10.16 08:02  更新 : 2019.10.16 16:14

フライングスパー以上のサルーンはあるのか

加速性能は凄まじい。アクセルペダルを踏み込めば、弾かれるようにクルマは突進する。知的な4輪駆動システムは、基本的にリアタイヤへ多くのトルクを分配するが、ホイールスピンを打ち消すように絶妙な割合でフロントタイヤへも駆動力を伝える。

スポーツモードを選択すると、トランスミッションの動作やステアリングの操舵感、乗り心地も変化。まるでFRの高性能マシンのような走りを見せる。だが今回の試乗では、エンジニアお勧めの「ベントレー」モードを保つことにした。

ベントレー・フライングスパー
ベントレー・フライングスパー

このモードは、スポーツの硬さとコンフォートの柔らかさのバランスを取った、理想的な設定を得ているようだ。独自に設定も可能ではあるが、あえて変える必要もないだろう。

強く印象付けられたのは、長時間運転した後の心持ちだった。フライングスパーは、当然のようにこの上ないほど快適。シートの位置を自分の好みに調整するだけ。後はフライングスパーが満たしてくれる。

カーブの続く道や狭い路地に入っても、クルマの淀みないパワーと磨き込まれた精度で、運転は喜びにあふれている。路面の段差を超え、コーナーを曲がるたびに、フライングスパーの素晴らしい走りに驚く。

それに慣れれば、静かに快適に、心地よく走り続けることができる。疲労を感じたりボディの大きさで手を焼くこともないだろう。果たしてフライングスパー以上に素晴らしいラグジュアリー・サルーンは存在するのだろうか。比較してみたいところだ。

番外編:発進時にすべてのトルクを得る手段

新しいフライングスパーには、ベントレーとして初めて従来式のトルクコンバーター式ATではなく、ZF社製のデュアルクラッチATが採用された。その理由は、デュアルクラッチATが静止状態から最大トルクを許容できるから。

W12気筒エンジンは1350rpmという低回転域から、91.6kg-mという膨大なトルクを生み出す。これまでのベントレーは有り余る最大トルクからATを守るために、1速と2速では発生トルクに制限が掛けられていた。

ベントレー・フライングスパー
ベントレー・フライングスパー

トルクコンバーター式のATのメリットはスムーズさ。新しいフライングスパーに乗ると、デュアルクラッチATになったことの違いを感じることができる。

デュアルクラッチATのメリットは、巨大なトルクを発揮させて重たいボディでも鋭い加速を実現できること。加速時のスロットルレスポンスと実際のスピードとの一致性が理想的でないことも確か。だとしても、間違いなく素晴らしい。

ポルシェパナメーラとコンチネンタルGTの技術が投入された、新しいフライングスパー。圧倒的な勝者であり、世界最高のクルマだといっても過言ではないだろう。

ベントレー・フライングスパーのスペック

価格:16万8300ポンド(2288万円)
全長:5316mm
全幅:1978mm
全高:1484mm
最高速度:333km/h
0-96km/h加速:3.7秒
燃費:−
CO2排出量:−
乾燥重量:2437kg
パワートレイン:W型12気筒5950ccツインターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:635ps/6000rpm
最大トルク:91.6kg-m/1350-4500rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック

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