【ライバル以上に好きになれる】ポルシェ・パナメーラ・ターボS スポーツツーリスモへ試乗

公開 : 2020.10.09 10:20

従来以上に増強されたスピードとサウンド

インテリアの変更は限定的。ステアリングホイールが新しくなり、新しいトリム素材が選べるようになった。インフォテインメント・システムもアップデートし、アップル・カープレイに対応。スマートフォンのワイヤレス充電機能も追加された。

新しいエンジンとエグゾースト・システムを得たパナメーラ・ターボS。従来のパナメーラ・ターボより明らかに騒々しく、速い。従来のターボも、決して遅いクルマではなかったが、中間加速が目に見えて向上している。

ポルシェ・パナメーラ・ターボS スポーツツーリスモ(欧州仕様)
ポルシェ・パナメーラ・ターボS スポーツツーリスモ(欧州仕様)

ターボのブースト圧を気にせず、ハーフスロットルからのエンジンの応答性は秀逸。とても扱いやすい。5速以下なら3000rpmを切る回転数からでも、アクセルを踏み込めば離陸するように加速する。

回転数が上昇するほどに、サウンドも迫力を増す。V8エンジンのサウンドは、従来より聞いていて楽しい。0-100km/h加速3.1秒という瞬発力を誇示するようだ。

排気音は、ジャガーの5.0LスーパーチャージャーやメルセデスAMGの4.0Lターボのように、心臓まで響くほどの躍動感はない。パナメーラでより聴覚の喜びを感じるなら、運転席側の窓は開けておきたい。

筆者の好みではマッスルカーのような無骨さが、もう少しあっても良い。

パワートレインの仕上がりは感動的に素晴らしい。ハイブリッドではないパナメーラは、とても貴重な存在だと実感させてくれる。

柔らかめのドライブモードで、大きめの垂直方向の入力が加わると、やや落ち着きに陰りが出る。それ以外での場面では、乗り心地はおしなべて優れている。

毎日使えるスーパーサルーンの最適解

横方向にかかる負荷の制御やステアリング操作の応答性、グリップ力やシャシーバランスなどは、大きなボディを考えると優秀。ステアリングホイールを介してのコミュニケーション力も、従来以上に良くなっている。

狙った通りに、パワーかけながらクルマをラインに乗せていける。タイカン並みの、突出した機敏さまでではない。しかし、遠く離れてもいない。

ポルシェ・パナメーラ・ターボS スポーツツーリスモ(欧州仕様)
ポルシェ・パナメーラ・ターボS スポーツツーリスモ(欧州仕様)

ライバルとは異なり、後輪駆動状態は選べない。常に四輪駆動だから、リアタイヤを派手にドリフトさせて、豪快なドライビングは興じれない。しかし、パナメーラ・ターボSを高速で運転する楽しさには、強く惹き込まれてしまう。

極めて速く、ラグジュアリーで、家族にも優しいグランドツアラーとして、パナメーラ・ターボS スポーツツーリスモは最上位に位置する。気になるのは、価格ぐらいだろう。しかし、性能で近似するライバルと比較して、目立つ価格差があるわけではない。

スーパーカー級のお金を、毎日使える色気のあるスーパーサルーンに支払おうと考えるなら、ターボS スポーツツーリスモは最適解の1つだといえる。4ドアサルーン以上の実用性を持ちつつ、別格の容姿も備えている。

ボディは大きいものの、フラットで機敏な身のこなしはポルシェの期待通り。優れた乗り心地で、グランドツアラーとしての能力も非常に高い。ライバル以上に、パナメーラ・ターボS スポーツツーリスモを好むドライバーも多いに違いない。

ポルシェ・パナメーラ・ターボS スポーツツーリスモ(欧州仕様)のスペック

価格:13万7760ポンド(1845万円)
全長:5049mm
全幅:1937mm
全高:1428mm
最高速度:315km/h
0-100km/h加速:3.1秒
燃費:9.0-9.1km/L
CO2排出量:251-253g/km
乾燥重量:2135kg
パワートレイン:V型8気筒3996ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:630ps/6000rpm
最大トルク:83.4kg-m/2300-4500rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック

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