かつてないほど「4ドアの911」 ポルシェ・パナメーラへ試乗 ステアリングとサスペンションの醸す味わい

公開 : 2024.03.21 19:05

ポルシェ・パナメーラが大規模アップデート 新世代と主張するのに充分な進化 ポルシェらしい雰囲気を醸し出すサスペンションとステアリング 英国編集部が評価

新世代と主張するのに充分なアップデート

ポルシェは、このパナメーラを「G3」と呼ぶ。新世代へ生まれ変わったという事実を、強調したいのだろう。だが実際は、2016年に発売された2代目をベースにしている。

少し誇張した表現にも思えるが、先代も極めて魅力的なビッグサルーンだったことは間違いない。そして、世代が変わったと主張するのに充分な、新しい技術が盛り込まれている。バッテリーEVのタイカンを今注文するべきか、考え直させるほど。

ポルシェ・パナメーラ(欧州仕様)
ポルシェ・パナメーラ(欧州仕様)

スタイリングは、紛うことなきパナメーラだ。エアインテークを中心に、フロントバンパーはデザインを一新。フロントフェンダーのラインも僅かに持ち上げられ、ボンネットの低さを視覚的に強めている。

運転席からの眺めは、911へ近づいた。両脇にヘッドライトへ続く峰が伸び、中央がくびれ、路面を良く見渡せる。

サイドウインドウは、後端が鋭角に。BMWのホフマイスター・キンクを想起させる。真一文字に伸びるテールライトも、存在感を増している。

新しいパナメーラのハイライトは、ボディの内側。パワートレインもシャシーも、大幅な進化を遂げている。特に、ハイブリッドへ力が注がれた。

現在のところ、電動アシストが備わらないのは、後輪駆動の素のパナメーラと、四輪駆動のパナメーラ 4のみ。先代から改良を受けた、2.9L V6ツインターボ・ガソリンエンジンがフロントに載る。最高出力は、従来から23ps増しの354psで共通する。

エアサスが標準 メーターパネルは前面モニター

それ以外には電動アシストが付く。パナメーラ 4 E-ハイブリッドと4S E-ハイブリッドにも、同じ2.9L V6エンジンが載るが、ZF社製の8速デュアルクラッチAT(PDK)内に190psの駆動用モーターが追加される。駆動用バッテリーは、25.9kWhだ。

最もパワフルなのが、ターボ E-ハイブリッド。同じ駆動用モーターとバッテリーに、4.0L V8ツインターボが組まれる。

ポルシェ・パナメーラ(欧州仕様)
ポルシェ・パナメーラ(欧州仕様)

これまでより駆動用バッテリーは大容量化され、電気のみで走れる距離は長くなった。 高密度化で、体積は増えていないという。

車重は、今回試乗した素のパナメーラで1885kg。この重さを受け止め、ポルシェらしい走りを叶えるため、エアサスペンションが標準装備される。

インテリアも新しくなっているが、モニターの存在が目立つ。メーターパネルには、アナログのタコメーターもなく、1面のワイドなモニターが埋め込まれている。クラシカルな、5連メーターのグラフィックを表示することは可能だ。

見やすく、表示のレイアウトなども変更できる。だが、グランドピアノから電子ピアノへ置き換えたような、味わいの違いは否定できない。

センターコンソールからはシフトセレクターが姿を消し、ダッシュボード上のスイッチへ置き換えられた。生まれた余地には、スマートフォンのワイヤレス充電パッドと、小物入れが与えられている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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