【その名は紅旗「H9」】日本初販売の純中国車 デザインに思い 「白銀比」とは

公開 : 2021.03.01 05:45  更新 : 2022.03.25 18:50

「H9」3台が日本上陸を果たす

この度日本で販売されることになった紅旗H9は紅旗シリーズの最上級車種。

一般販売される初めての純中国製乗用車となる。中国の紅旗ディーラーで購入して日本へ輸入する「並行輸入」ではなく、少数であってもメーカーである第一汽車からの正規輸入車という形になる。

紅旗H9
紅旗H9    加藤博人

輸入元の話によると、H9の輸入はすべて第一汽車が管理しており、並行輸入がおこなわれることはない(というよりも、メーカーが拒否の)様子。

2019年夏以降に中国で販売が開始されたH9は本国内で大人気となっており納車にも時間がかかっているそうだが、日本へは安定したデリバリーがおこなわれる予定。価格やグレードなどは間もなく発表されるだろう。

テレビ朝日のニュース番組「ワイドスクランブル」で30分にわたって特集されたこともあり、紅旗の知名度は一気にアップ。

筆者のもとにも、SNSや共通の知人を通じて個人や企業など10件以上の問い合わせがあって驚いている。

独特のデザインも注目を集めるH9。デザインしたのは中国人デザイナーの丁楊峰(てい・ようほう)氏である。

シリーズの最上級車種らしく、豪華で威風堂々としたスタイルが印象的で滑らかなルーフとCピラーのラインが美しい。

筆者が取材した車両は2Lモデルだったので、ボディカラーは単色だったが、3Lモデルの上位グレードは2トーンカラーを採用しており、さらに威厳と風格を兼ね備えたスタイルとなっている。

デザインに込められた深い思い

グリル周りをはじめ、黄金比が基準の欧米とは異なり、東洋デザインの基本となる「白銀比」(シルバーレシオ)を用いた設計となっている。

「白銀比」という言葉を聞いたことはあるだろうか?

紅旗H9
紅旗H9    中国第一汽車

白銀比という言葉にはなじみがなくても、「1:ルート2」という比率(正方形の1辺とその対角線の長さが1:ルート2となる)は、日本を含む東洋では古来よりなじみがある、というよりも染みついているといった方がいいだろう。

白銀比に基づいて正方形とそれに外接、内接する円を基調としたデザインはH9のフロントグリル周辺をはじめ、随所に採用されている。

エンジンフードからグリルに伸びる中心線は「地球の罫線」、14本のタテ線は流れる滝をイメージしており、白いラインのデイライトは「龍のひげ」を表しているという。

テールライト周りのデザインも非常にユニークだ。

こちらもフロントグリル同様、全体的な構造は「白銀比」をベースに外接円と正方形で構成されている。

そしてテールランプ周りは左右に4本ずつ合計8本の横の短いラインで彩られており、これらの短い横ライン、実は「紅旗」を表している。

紅旗エンブレムにも使われている「旗」を横にした形でデザインされているのだ。

毛沢東が中華人民共和国の建国宣言をおこなった場所でもある北京の天安門にも、同様に門の両端に4本ずつ紅旗が掲げられているが、紅旗H9のテールライト周りもそのイメージなのだろうか?

紅旗H9は内外含めすべての設計を第一汽車だけでおこなった初めてのモデルとなるフラッグシップカーである。

このモデルからは、その自信と誇りを強く感じることができる。

記事に関わった人々

  • 加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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