【期待以上にパワフル】スズキ・アクロス(3) 長期テスト 良い感じでこなせるSUV

公開 : 2021.07.18 09:45

トヨタRAV4のOEMとなる、スズキ・アクロス。PHEVのSUVとしての実力や、RAV4との違いなどを長期テストで英国編集部が確かめます。

積算9131km 充電時の容量の違い

text:Olgun Kordal(オルガン・コーダル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
長期テストで乗っているスズキ・アクロス。トヨタRAV4PHEVとの1番大きな違いは、充電システムにある。トヨタRAV4 PHEVは最大6.6kWの容量まで許容し、最短2時間半で満充電にできる。

一方のスズキ・アクロスは3.3kWどまり。通常の3ピン・ケーブルでつなぐと、満充電に6時間は必要になる。250ポンド(3万8000円)の追加費用で7ピン・ケーブルを購入すれば、5時間半に縮まるけれど。 

スズキ・アクロス 2.5 PHEV E-FOUR E-CVT(英国仕様)
スズキ・アクロス 2.5 PHEV E-FOUR E-CVT(英国仕様)

積算1万2411km ディティールに惹き込まれる

先日、自分でも意外な印象を抱くことがあった。気持ちの良い晴天で開放的な気分だったからかもしれないが、スズキ・アクロスのデザインに惹き込まれてしまったのだ。

ボディに強めの光が当たり、ドアに施された彫刻的なラインが強調されていた。今まで気付かずにいたが、見入ってしまう造形に思えた。

スズキ・アクロス 2.5 PHEV E-FOUR E-CVT(英国仕様)
スズキ・アクロス 2.5 PHEV E-FOUR E-CVT(英国仕様)

正直にいって、スズキ・アクロスはデザインが自慢のモデルとはいえないだろう。近年のSUV市場には、ドラマチックなプロポーションや、ルーフラインの割に広い車内が与えられた、スタイリング重視のモデルが少なくない。

アクロスは明らかに違う。でも、個性的なディティールが与えられている。

止まった状態で全体をぼんやり見ていると、それほど強い印象は残らない。でも細部へ目を配ると、好ましい処理をあちこちに発見できる。たとえばヘッドライトの形状は、少し派手だが充分に魅力的だ。新鮮に感じられた。

電気モーターの鋭いパワーデリバリー

筆者は、スズキ・アクロスの多様な実力へ感心している。実用的で快適で、程よく洗練されていて運転しやすい。ハイブランド・モデルのような、多くの人が欲しいと思うクルマに対する憧れを薄れさせてくれる。

歳を重ねたからだろうか。クルマに対する見方が深くなったからだろうか。

スズキ・アクロス 2.5 PHEV E-FOUR E-CVT(英国仕様)
スズキ・アクロス 2.5 PHEV E-FOUR E-CVT(英国仕様)

筆者は最近引っ越したばかり。PHEVには理想的な環境ではなく、ひと晩かけて思い通りにアクロスを充電することができない。だが駆動用バッテリーが満充電なら、電気モーターのパワーデリバリーはかなり鋭い。

アクセルペダルを雑に扱えば、簡単にトラクションを超える。リアタイヤはスキール音を立てる。少し馬鹿げているかもしれないが、エネルギッシュさが楽しい。

誰が見ても、速いクルマには見えないだろうし、活発さは期待していないかもしれない。アクロスは経済的で、便利なボックス形状のボディをまとっていながら、本当に速い。

残念なのが、eCVTが発するノイズ。運転する魅力をトランスミッションが大きく損なっていると思う。少し積極的に走らせると、パワートレインからは高速設定の泡立て器のような、耳障りな音が聞こえてくる。

アクロスの燃費性能は変わらず良好。最近の平均燃費は15.9km/Lくらい。充分には駆動用バッテリーが充電できていないのにも関わらず。

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