【優雅さを増した3代目】R107型メルセデス・ベンツSL 300と350、500を乗り比べ 後編

公開 : 2021.07.18 17:45

一度味わってしまうと、抜けられなくなるというメルセデス・ベンツSL。R107型への憧れを募らせた英国編集部は、3台の乗り比べに興じました。

モデルライフを通じて改良が続いたエンジン

text:Martin Buckley(マーティン・バックリー)
photo:Olgun Kordal(オルガン・コーダル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
美しく仕上げられたR107型、3代目メルセデス・ベンツSLの68%はアメリカ市場へ輸出された。現地の規制に合わせて4灯式ヘッドライトと5マイルバンパーが組まれても、富裕層に欲しいと思わせる佇まいは変わらなかった。

オイルショックに対応するため、1974年の280 SLからはMTが標準採用されたが、直6の方がV8エンジンより燃費は伸びなかった。排気ガス浄化に伴い失われたパフォーマンスを取り戻すべく、450 SLも投入されている。

ゴールドのメルセデス・ベンツ350 SLと、レッドの300 SL
ゴールドのメルセデス・ベンツ350 SLと、レッドの300 SL

1973年から1980年にかけて、450 SLは228psを発揮。280 SLとの見た目上の違いは小さく、トランクのエンブレム以外での差別化は、タイヤのサイズと控えめなチンスポイラーくらいだ。

1975年になると、V8エンジンへボッシュ社製のKジェトロニック・インジェクションを登用。トルクコンバーター式の3速ATが滑らかな加速を生み出した。

新設計のオールアルミV8エンジンが登場するのは1980年3月。排気量は3.8Lと5.0Lへ拡大され、350 SLと450 SLは、221psの380 SLと234psの500 SLへ置き換わっている。同時にATは最新の4速へアップデートされた。

このアルミ製V8エンジンは軽量で、280 SLが搭載した直6より軽い。新しいATも、従来より軽量に仕上がっていた。ちなみに排気量に関わらず、R107型にはもともと軽いアルミニウム製のボンネットが載っている。

日本や北米専用グレードだった560 SL

1981年、Sクラスに採用されたエナジー・コンセプトという考え方をSLにも採用。圧縮比を高め、改良を受けた燃焼室とエグゾーストを獲得し、燃費効率が改善された。500 SLの最高出力は、243psへ引き上げられた。

ロング・ストロークの380 SLでは350 SLより2000rpmで10%ほどトルクが高く、温まるのも早かった。アイドリングの回転数を落とすことで、燃費は20%も改善。280 SLではアクセルオフ時に燃料を止める方法も試みられている。

メルセデス・ベンツ500 SL(R107型/1980〜1989年/英国仕様)
メルセデス・ベンツ500 SL(R107型/1980〜1989年/英国仕様)

1985年になると吸気バルブとカムが改良され、500 SLはさらに馬力アップ。248psを獲得した。標準装備のリミテッドスリップ・デフもしっかり機能を果たす、豊かなトルクも得た。

一方で380 SLはボアが広げられ420 SLへ。280 SLは300 SLへ名前が改められ、W124型300 Eで初登場したSOHCの直列6気筒エンジンへ換装されている。最高出力は190psを発揮した。

この時点での改良で、フロントサスペンションの形状をアップデート。タイヤの扁平率が低められ、アルミホイールのデザインもフラットなものに一新。フロントのリフトを抑えるため、チンスポイラーが共通で装着された。

北米と日本、オーストラリア向けの輸出専用グレードとして、560 SLも存在している。最高出力は、排気ガスの浄化装置で233psに抑えられていた。

英国へ輸入されたパゴダルーフのSLは1000台程度。だが、R107型は遥かに数が多く、現在でもしばしば走る姿を目にすることができる。状態の良いクルマの多くは、ウォリックシャーのSL専門店、SLショップが売り手のようだ。

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