誰も知らないスーパーカー 50選 後編 ひっそりと消えた不運な珍車・名車

公開 : 2021.11.27 06:25

ブリストル・ファイター(2004年)

英国のブリストル社は、流行に流される必要はないと考えていた。非常に限られた買い手のために、独自の方法で物事を進める企業だった。ガルウイングドア、タイトなボディ、ダッジ・ヴァイパーのV10エンジンを搭載したファイターには、同社の性格が顕著に現れている。

標準タイプでも530psを発揮して最高速度338kmhに達したが、このパワーに物足りなさを感じた人のために、2007年にはファイターTが発表された。1026psを誇るこのクルマは、理論的には430km/h以上出せるとされているが、製造されることはなかった。

ブリストル・ファイター(2004年)
ブリストル・ファイター(2004年)

ジョスJP1(2004年)

2004年にオーストラリアで開催されたモーターショーでジョスJP1が公開されたときは、期待が持てた。見た目もよく、作りもしっかりしていた。さらに、最高出力500psの6.8L V8を搭載し、ポルシェG50の5速MTを介して、66kg-mのトルクを後輪に伝えることで、速さも実現していたのだ。しかし、同社にはJP1を実際に走らせるための資金がなく、2014年にクラウドファンディングが実施されたが、軌道に乗ることができなかったのである。

ジョスJP1(2004年)
ジョスJP1(2004年)

ローテック・シリウス(2004年)

1962年に設立されたローテックは、2004年に初の公道向け市販車を発表するまで、モータースポーツを中心に活動していた(前出のC1000はワンオフである)。6.0Lのメルセデス製V12を搭載し、創業者のカート・ロッテルシュミットがデザインしたシリウスは、発売から15年が経過した現在も販売されている。これまでに何台作られたのか気になるところだ。

ローテック・シリウス(2004年)
ローテック・シリウス(2004年)

グンペルト・アポロ(2005年)

ローランド・グンペルトとローランド・メイヤーが共同で開発したガルウイング型のスーパーカー。アウディ製の4.2L V8ツインターボを搭載し、チューブ状のスチール構造の中央にグラスファイバー製またはカーボンファイバー製のボディを載せている。

出力は650psまたは700psのいずれかを選択でき、前者でも360km/hに達すると言われている。2013年にグンペルトが倒産するまで、40台以上のアポロが製造されたという。

グンペルト・アポロ(2005年)
グンペルト・アポロ(2005年)

バラバスTKR(2006年)

ドイツのチューニングメーカーであるブラバス社と間違えないように。英マンチェスターで製作されたこのクルマは、2006年の英国モーターショーでサプライズ発表されたものだ。カーボンファイバー製のボディとシャシーに、最高出力1020psの7L V8ツインターボを搭載したTKRは、最高速度435km/h、0-97km/h加速をわずか1.7秒で達成すると謳われていた。

2006年11月に販売を開始する予定だったが、プロジェクトは消滅し、2年後にキーティングTKRとして復活した。後にテストで420km/h近くを記録しているので、当初の主張はそれほど誇張ではなかったのかもしれない。

バラバスTKR(2006年)
バラバスTKR(2006年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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