世界最大の自動車工場 32選 前編 次々とクルマが作られていく超巨大ファクトリー

公開 : 2022.01.22 18:05

年間生産台数が世界で最も多い自動車工場を紹介。広大な敷地で数千人規模の従業員が働く産業の要です。

クルマの故郷であり雇用の場

自動車工場は産業の要であり、大きいところでは1年間に100万台以上を生産している。

数百万平米という広大な敷地に、数千人から数万人もの従業員が働く巨大工場は、自動車メーカーだけでなく地域の産業・雇用面でも重要な役割を担っている。

敷地内には何百台ものロボットや物資運搬用の線路、テストコース、太陽光発電などさまざまな設備が置かれている。
敷地内には何百台ものロボットや物資運搬用の線路、テストコース、太陽光発電などさまざまな設備が置かれている。

ここでは、2019年のデータをもとに(2020年はごたごたしていたので、そのデータを使っても意味がないだろう)年間生産台数の多い工場を昇順に紹介する。クルマの故郷に思いを馳せてみよう。

ステランティス:米イリノイ州ベルビディア – 20万8000台

ベルビディアで初めてクルマが作られたのは、1965年。プリマスとダッジの生産に使われたのが始まりだ。2016年に3億5000万ドル(約400億円)をかけて行われた改装により、工場はジープチェロキーの製造に専念するようになり、2019年には20万8000台が出荷された。

現在、ステランティス(フィアットクライスラーとPSAグループの統合会社)の傘下にあるベルビディア工場には2500人が働いている。

ステランティス
ステランティス

ジーリー:中国湖南省湘潭市 – 24万台

ジーリー(吉利汽車)は、中国では珍しく国が関与しない民営の会社だ。そのおかげで会社は急速に発展し、ボルボを除く年間総生産台数約130万台のうち、湘潭(しょうたん)工場では年間24万台もの自動車を生産している。主なモデルは、小型SUVのヴィジョンやセダンのSC7、GC7だ。

ジーリー
ジーリー

メルセデス・ベンツ:米アラバマ州タスカルーサ – 30万台

メルセデスは、米国アラバマ州のタスカルーサで、年間約30万台のSUVを生産している。現在、4400人の従業員がGLEGLS、そしてメルセデス・マイバッハGLSの生産にあたっている。

また、EVモデルであるEQEEQSの生産もこの工場で行われている。1995年に設立されたこの工場は、メルセデスにとってドイツ国外における最初の主要生産拠点となった。

メルセデス・ベンツ
メルセデス・ベンツ

フォード:米ケンタッキー州ルイビル – 30万台

ケンタッキー州ルイビル工場は、フォードが米国内に持つ大規模な工場網の中で最も長い歴史を持つ工場の1つであり、1913年のT型フォードを皮切りに自動車製造を続けている。現在はエスケープとリンカーン・コルセアが生産されている。

ルイビル国際空港のすぐ隣にある同工場では、4500人が働いている。工場内には、部品を運ぶベルトコンベアーが32kmも続いている。

フォード
フォード

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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