市民のクルマの完成形 フォルクスワーゲン・マルチバンへ試乗 T7世代へモデルチェンジ

公開 : 2022.05.26 08:25

VWのヒットモデル、ワンボックスのバンがT7世代へ一新。秀でた実用性や洗練性を、英国編集部は評価します。

完成形といえるVWのワンボックス

フォルクスワーゲン・マルチバンは、1つの完成形にある。先代のイメージを展開させたスタイリングに、低いフロアが生む広大な車内空間と充実装備、多彩な仕様で、多くの市民のニーズに応える。

フォルクスワーゲンはT6世代まで、このワンボックスを英国ではカラベルと呼んでいた。T7世代への進化と同時に、マルチバンへ改めたようだ。

フォルクスワーゲン・マルチバン・スタイル・ロング 2.0TSI(英国仕様)
フォルクスワーゲン・マルチバン・スタイル・ロング 2.0TSI(英国仕様)

タイプ2を想起させる見た目の純EV、最新のID.バズがショールームへ並ぶ日は近い。だが、こちらは慣れ親しんだ構成で成り立っている。グループ内の多くのモデルが利用する、MQBプラットフォームをベースにしている。

このMQBは、コンパクトなアウディA3も採用するもの。洗練性と汎用性の高さを、証明する事実といえる。

ライバルは、フォード・トランジットからシトロエン・スペースツアラー、メルセデス・ベンツVクラスまで幅広い。だが、いずれも商用車用のプラットフォームがベース。質感ではマルチバンに及ばない。

新しいT7世代で注目すべきは、プラグイン・ハイブリッド版の登場だろう。150psを発揮する1.4気筒ターボガソリン・エンジンと115psの駆動用モーターが組み合わされ、システム総合218psを発揮する。

すべてのパワーは、前輪のみに伝えられるFF。最長49kmを電気だけで走れる、駆動用バッテリーも搭載される。

従来的なパワートレインとして、150psの2.0Lターボディーゼルと、135psの1.5Lガソリンターボ、203psの2.0Lガソリンターボもラインナップされる。今回試乗したのは、後者の2.0L版だった。

2.0Lターボが生むクラスで称賛すべき走り

サイズ・バリエーションは、標準ボディと、オーバーハングが200mm長いロングボディの2種類。トリムグレードは、英国では基本のライフと上級のスタイルから選べる。

近年はボルボXC90ランドローバー・ディスカバリーアウディQ7など、7シーターのSUVという選択肢が少なくない。それでも、スクエアなボディを持つマルチバンを選びたいという層は少なくない。その嗜好は明らかに異なる。

フォルクスワーゲン・マルチバン・スタイル・ロング 2.0TSI(英国仕様)
フォルクスワーゲン・マルチバン・スタイル・ロング 2.0TSI(英国仕様)

SUVの場合は、躍動的なスタイリングや威勢の良い走り、悪路走破性などが強みとしてある。一方のマルチバンは、圧倒的な多様性や実用性がストロングポイントだろう。

車内のフロアには堅牢なレールが敷かれ、5脚か4脚のシートをスライドさせたり、回転させたり、取り外すことも可能。センターコンソールを後ろにスライドさせ、テーブルを展開すれば快適なリビングを作れる。在宅ワークにも丁度いい。

シートはどの列でも快適。クッションは適度に柔らかく、頭上空間も広々としている。

ホイールベースは3124mmあり、車重2850kgと軽くはないものの、2.0Lガソリンターボ・エンジンは大きなマルチバンを力強く進めてくれる。このクラスとして称賛すべき走りに、パパやママも喜ぶはずだ。

フォルクスワーゲン・ゴルフやポロ GTIにも積まれる4気筒エンジンだが、最大トルクが32.5kg-mと太く、さほど回転数を高めずとも高速道路をこなせる。アクセルペダルを踏み込むと、明確にノイズが車内へ届くけれど。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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