「輸出台数は最盛期の7~8割減です…」 ロシアで人気の日本製中古車 輸出禁止が強化された影響は #ニュースその後

公開 : 2023.10.22 18:00  更新 : 2023.10.22 19:26

日欧米が去り、中国車が大きく台頭

2023年7月中古車輸出台数

1位 ロシア 3万3145台(前年同月比184.1%)
2位 UAE 1万7907台(同172.0%)
3位 ニュージーランド 1万336台(同168.6%)
4位 モンゴル 6998台(同190.8%)
5位 チリ 6470台(同110.5%)

1.9L以上のガソリン車、すべてのハイブリッド車とEV車のロシア向け輸出が禁止になる直前の7月はこのような状態だった。

ロシアが単月で3万台を超えたのはかなり稀な状況である。

UAEやモンゴルの前年同月比もすさまじい増え方だ。日本からの中古車がUAEやモンゴルを経由してロシアに流れている可能性も大いにありそうではある。

ではロシア自動車市場はいま、どのような状況になっているのだろうか?

日欧米メーカーの新車が販売されていないのはもちろん、中古車も厳しい規制を受けているロシア。

自動車市場の情勢についてもジェトロ欧州課より回答があった。

「ロシアの特に極東地域では日本車は一定の人気がありましたが、今後は中国車やロシア国産車が増えていく可能性はあります」

「ロシアの自動車市場調査会社アフトスタトの調査によると、2022年の乗用車(こちらは新車ですが)の販売台数は前年比60.5%減で、特に西側企業の販売台数の減少が目立ちました」

「いっぽう中国メーカーの中には前年比で販売台数を伸ばしているメーカーもあり勢いがあります。日本車が入らない分、中国車やロシア国産車などのシェアが伸びる可能性はあるのではないかと思います」

「また現地専門家のコメントとして、輸出が禁止される日本車に関しては15~30%価格が高騰すると報道しているメディアもあります」

「日本車の修理に必要な部品の調達も困難になってきているようですので、ロシア人にとって日本車は手が届きにくくなるかもしれません」

なるほど。日欧米メーカーが去ったあと、いまは中国車が大きく台頭している状況のようだ。

ロシアブランドの新車として人気があるモスクヴィッチも中身はほとんど江淮汽車(JAC)製とされる。

モスクヴィッチは今年9月上旬に旧ルノーモスクワ工場を買い取って初のCセグメントセダン「モスクヴィッチ6」の生産を開始したことを発表している。同車は3グレードの設定でこの10月には発売予定だ。

高級車ブランドとして知られる第一汽車「紅旗」もロシアでの販売に本腰を入れ始めている。

近年、中国車の性能、信頼性は飛躍的に上がっており安定してロシアで新車が販売されるなら、中国車という選択もありなのでは? と考えるロシア国民もこれからは増えそうである。

とにもかくにも、ロシアでの戦争が無事集結しウクライナの間に平和が戻って各国からの経済制裁もなくなり、かつての正常な自動車市場が戻ってくることを祈るばかりである。

※この記事は、AUTOCAR JAPANとYahoo!ニュースの共同連携企画です。

記事に関わった人々

  • 執筆

    加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。
  • 編集

    上野太朗

    Taro Ueno

    1991年生まれ。親が買ってくれた玩具はミニカー、ゲームはレース系、書籍は自動車関連、週末は父のサーキット走行のタイム計測というエリート・コース(?)を歩む。学生時代はボルボ940→アルファ・スパイダー(916)→トヨタ86→アルファ156→マツダ・ロードスター(NC)→VWゴルフGTIにありったけのお金を溶かす。ある日突然、編集長から「遊びにこない?」の電話。現職に至る。

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