【実際に購入レポート】ポルシェ・タイカンの長期テスト(17) 1年半の使用でバッテリーの劣化は?

公開 : 2023.11.12 11:45

AUTOCAR JAPANの笹本健次編集長のポルシェ・タイカン購入レポート。今回はEVに注目が集まった「ジャパン・モビリティショー2023」会場でも充電を行いました。会場のインフラはどうなっていたのでしょうか?

多忙な移動の道中、PAで急速充電器を使用

購入してから1年8カ月が経過したポルシェタイカンは、11月3日時点で、2万7380kmを走破した。前回のレポートから3ヵ月間で4684kmを走ったが、相変わらずノートラブルですこぶる安定している。電費は4.10km/kWでこれまでの数値と殆ど変わらない。

偶々「ジャパン・モビリティショー2023」プレスディの前日、宇都宮への出張があり、翌朝、直接ショーの会場に向かうことにした。川崎の自宅から160kmほど走って宇都宮市内のホテルに到着したのだが、ホテルには充電器の用意は無かった。

EVで「ジャパン・モビリティショー2023」会場へ
EVで「ジャパン・モビリティショー2023」会場へ    笹本健次

その日のスケジュールがタイトだったので、あえて充電器を探さず、翌朝、会場に向かう途中の蓮田パーキングの急速充電器で30分間の充電をした。その時のバッテリー残量は40%、走行可能距離155kmであったが、30分で17,5kWhしか充電できず、走行可能距離も236kmに増加しただけであった。

因みに、久しぶりに立ち寄った蓮田パーキングは見違えるほど綺麗で巨大なPAへと変貌していたが、EV充電器は40kWがたった1基しかなく、相変わらず何の改善も行われていないのが残念であった。

「ジャパン・モビリティショー2023」会場での充電

無論、この充電量があれば、自宅までの帰路は何の問題もないが、EVが大きなテーマとなっている「ジャパン・モビリティショー2023」会場のEV充電事情はどのようなものか知りたくなった。ビックサイトのEV充電器は会議棟のB1Fにあり、警備員に案内された場所はパーキングの最奥であった。

充電器は50kWhの急速充電器が1基/6kWの普通充電器が5基設置されていたが、あまり使用されていないようで2基分は空いていた。私は普通充電を選び、6KWで取材が終わるまで5時間ほど充電を行った。今はこの程度で済んでいるが、2年後は到底足りなくなるだろうと思う。

EVで「ジャパン・モビリティショー2023」会場へ
EVで「ジャパン・モビリティショー2023」会場へ    笹本健次

昨年と今年の走行可能距離の変化については、昨年の同時期の平均が407.3kmに対し、今年は397kmで、僅かに下がっている。数字にすると2.5%のダウンで大きくはないが、今年の冬、気温が下がった時にどの程度まで距離が落ちるのか、心配である。昨年の冬期に20%ほど落ち、330km程度しか走行できなくなっていたが、私の使用状況では、冬季でも最低400kmは欲しいところだ。

さて、先日、経済産業省から新しいEV充電インフラの指針が発表された。それによるとEV充電器の設置目標を、2030年までに、従来の15万基から30万基に引き上げることが発表された。同時に、充電器の容量も普通で最低6kW、急速では90kW以上が推奨された。

我々、宿泊業界でも2030年までに7万基の充電器を設置する目標を立てているが、業界内部へのEV知識の浸透が一番必要なことであろう。現状では、一般の人々のEVに対する知識は断片的であり、残念ながら誤解も多いと思う。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    笹本健次

    Kenji Sasamoto

    1949年生まれ。趣味の出版社ネコ・パブリッシングのファウンダー。2011年9月よりAUTOCAR JAPANの編集長、2024年8月より総編集長を務める。出版業界での長期にわたる豊富な経験を持ち、得意とする分野も自動車のみならず鉄道、モーターサイクルなど多岐にわたる。フェラーリ、ポルシェのファナティックとしても有名。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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