マクラーレンP1 GTR、ジュネーブで正式デビュー

公開 : 2015.01.17 23:50  更新 : 2021.03.05 18:51

マクラーレンは、P1 GTRを今年のジュネーブ・モーターショーで公式にデビューさせるとアナウンスした。今年3月のジュネーブ・モーターショーで発表されるモデルは、最終形のプロダクション・モデルとなるもので、生産は今年の後半からスタートする。

このマクラーレンP1 GTRは、ロードカーのP1をベースに、軽量化とサーキット走行に対する最適化がなされ、パワー・ウエイト・レシオは10%ほど向上している。

今回、その公式デビューに先駆けて、その詳細が明らかにされた。

コクピットは快適性と安全性を失うことなく、重量の低減と、よりドライバーよりにフォーカスした姿へとストリップ・ダウンされている。2008年のF1マシンであるMP4-23で使用された形状のステアリング・ホイールがP1 GTR専用として装備される。これは、昨年8月のペブルビーチ・コンクール・デレガンスで既に明らかにされていたもの。キー・コントロールは、ドライバーがステアリング・ホイールから手を放すことなくクルマの特性をセットアップできるような配置となっているのも特徴。ドラッグを低減させるDRS、瞬間的にパワーを上げるためのIPASなどがステアリング・ホイールに付けられている。また、マクラーレンはそれらスイッチが、ドライバーがレーシング・スーツをまとい、レーシング・グラブとヘルメットを装着した状態でもコントロールしやすいように、配置、そして大きさを考慮したという。

キャビンは、DTMツーリング・カー選手権で使用されるのと同じ6ポイントのレーシング・ハーネスがセットされた、軽量なカーボンファイバー製のシートがセットされる。このシートは、オーナーの体型に併せて調整された上で、シャシーに直接取り付けられる。ブラケットをかませないことで、少しでも軽量化に寄与しようとしたためだ。また、シートはヘッド・アンド・ネック・セーフティ(HANS)デバイスを取り付けることが可能だ。

装備は若干ロード・ゴーイング・モデルのP1から取り外されてはいるが、完全なサーキット専用モデルとは異なり、エアコンは快適さを維持するために付けられたままとなる。

カーボンファイバー製のモノケージ・シャシー自体はロードカーから受け継がれたものだが、アッパーおよびロワ・ストラクチャー、ルーフ・シュノーケル、エンジン・エア・インテイク、バッテリーおよび電気関係のハウジングなどの合計で90kgほどのダイエットがされている。

パワートレインのアップグレードを中心に開発が進められたが、ピレリのスリック・タイヤとの相性、そして固定された大きなリア・ウイングとのマッチングもポイントとなった。

「テストは、その結果からみて完璧だった。ターゲットが明確だったからだ。ヨーロッパで、この冬の期間を通してマイレージを稼ぐテストを行ったが、その中でP1 GTRは急速な進化・発展を見せた。」とマクラーレンは語っている。

マクラーレンは、バーレーン・インターナショナル・サーキットで、このP1 GTRのプロトタイプを展示したが、その時よりも遥かに進化しているという。

また、P1 GTRドライバー・プログラムについての詳細も明らにされた。このプログラムはP1 GTRを最大限に楽しんでもらおうというものだ。

P1 GTRのオーナーは、一般には立ち入ることのできないマクラーレン・テクノロジー・センター(MTC)で、レーシング・シミュレーターによるトレーニングを受けることができるという。

マクラーレンP1 GTRプログラム・ディレクターのポール・マッケンジーは、「P1 GTRのオーナーは、普段はアクセスすることができない最先端の施設、MTCで学ぶことになる。ここで、P1 GTRの持つ本当のパフォーマンスを理解することになる。また、実際にサーキットに出る前に、ブレーキングとターン・イン・ポイントを体験することができるのだ。リアルなシミュレーターによって自分のドライビングを分析し、検討することとなる。これは、本来はマクラーレンのF1ドライバーや育成ドライバーのために長年かかって開発されたシステムである。これはちょうど良いフィットネスになるばかりではなく、精神的な準備も行える利点がある。このシミュレーターによって、フィジカルな面はもちろん、スピリチュアルなものまでアップグレードできることとなるのだ。」と語っている。

マクラーレンP1 GTRのオーナーは、ドライバー・プログラムの最初の年に、年間6戦のサーキット・イベントに参加することとなる。これら6つのサーキットは、いずれもF1が開催されるサーキットだ。そしてこのイベントには、責任をもってサポートしてくれるレース・チームが着くことになる。レース・チームには、ドライバー・コーチとヘッド・エンジニアが着く。ヘッド・エンジニアは、テレメトリー・システムとビデオを分析して、ドライバーのスキルを解析し、ラップ・タイムを刻むためのアドバイスをしてくれる存在だ。

昨年8月のペブルビーチ・コンクール・デレガンスの会場で、マクラーレンはこのP1 GTRの生産は、通常のP1の生産が終わってからになるとコメントしている。そして、それは恐らく12ヶ月ほど先になるとの見通しを話していた。

なお、このP1 GTRは、375人のマクラーレンP1のオーナーにだけ、購入のオファーが可能。価格は、£1,980,000(3億5200万円)とアナウンスされている。

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