フォード・トルネオ・コネクト1.6デュラトルクTDCiタイタニウム

公開 : 2013.10.30 20:00　　更新 : 2017.05.29 18:54

■どんなクルマ？

トルネオ・コネクトはグランド・トルネオ・コネクトや大型モデルを含めたフォード・トルネオのラインナップの1/3を占めるモデルだ。ただし、家族向けのMPVという形でトルネオの名を冠するのはこのクルマが初めてだ。

5シーターのトルネオ・コネクトと7シーターのグランド・トルネオ・コネクトの備えるフレキシブルな荷室と、隙のないエンジン・ラインナップ、広大なキャビンは一家で移動を考えている家族連れへのアピールとなる。

内装についてもフォードは念入りだ。インテリア表面は広範囲に渡って耐久性が高く、ふき取りが可能なプラスチック成型となっている。2つのスライド式後部ドアとフォードが複数のクラスに跨って最高の広さであると主張しているキャビンが特徴となる。後部座席は6:4に分かれた可倒式で、折りたたむか完全に取り外すことで2410ℓまで荷室を拡大することもできる。

商用車と同じトルネオのバッジに不快感を示す乗用車の購買層により直接的にアピールするために、トリムにはお馴染みのゼテックとタイタニウムが設定される。

エアコン、ヒーター付電動ミラー、燃費追跡機能を搭載したトリップ。コンピューターが装備される中間グレードのゼテック・トリムが最大の売れ筋になると予想される。フォードのSYNC音声コントロール・システムはベース車両を除いたすべてのトリムで標準装備となる。

■どんな感じ？

乗り込んでみると、その巨大さは圧倒的だ。トルネオ・コネクトの豊かなレッグルームとヘッドルーム、5人乗りのままでも1029ℓに達し、後列シートを取り外せば2410ℓまで拡大される荷室の容積をフォードは声を大にして主張している。

このスペースすべてに物を詰め込めるわけではないが、各種の収納スペースやロッカーが点在している、通常のグローブボックスやドアポケットの他にも、頭上に航空機スタイルのロッカーも備える。

結果としてキャビンは風通しが良く広大であり、そのフィーリングは四方を囲む大きなウィンドウの追加と、タイタニウム・トリムに設定されるオプションのパノラマ・サンルーフにより強固なものとなる。

後部座席の乗員はスペース不足に苦しむことは無く、前部の広さも適切だ。ドライビング・ポジションはこのクラスにしては高く、快適でサポート性にも優れる運転席の正面に広い視界を提供する。各ペダルとステアリング・ホイールは共にセンターから外れているので、慣れるには時間が必要だ。

試乗した94bhp仕様の1.6ℓのデュラトルクTDCiは優れており洗練されたエンジンだ。フォードは販売開始時にこのエンジンが売り上げの最大を占めると予測しており、英国市場でもほぼ半数を占めると見積もっている。

23.5kg-mのトルクを均一に発生しつつも公称燃費は20.0km/ℓで、CO2排出量は130g/kmのこのエンジンは5シーターのトルネオ・コネクトと相性がいい。

5段マニュアル・ギアボックスはエンジンのパワーを有効に扱えるが、この他に6段マニュアルと6段オートマチックも選択可能だ。

ステアリングは程よい重さがあり路面からのインフォメーションを正確に入力する、またフォード・トルネオ・コネクトの旋回半径はそのボディ・サイズの割に優れている。

主な不満は乗り心地にだ。リアには旧モデルのリーフスプリングの代わりにトーション・ビームが採用されたにも関わらず、2名乗車時に予測不能な感覚に見舞われた。トルネオ・コネクトはコーナリング中には不安を感じさせ、高速道路での乱れた乗り心地は乗員を常時揺さぶり続ける。

■「買い」か？

現時点では5シーター、7シーター共にデリバリーは今年度末に予定されおり、コンパクトMPV市場には既にシトロエン・ベルランゴ、フィアット・ドブロ、プジョー・パルトネール・ティピー、そしてフォード自身のCマックスのような沢山の競合車種が存在するが、より積載性が高く、トルネオのようなバン由来の働き者で、特に£14,245(224万円)から買えるクルマの居場所は間違いなく存在する。

より豪華で高級な内装をお求めなら他を探すのが良いだろう。ただし、最大の関心事が荷室の広さで、普段から5人乗りの車が必要ならトルネオ・コネクトのフレキシブルなドライビング・スタイルは購入候補に入れる価値はある。

(ダレン・モス)