【PHEVのQ7に55が登場】アウディQ7 55 TFSIeへ試乗 加速するSUVのせめぎ合い

公開 : 2021.06.24 08:25  更新 : 2021.07.27 14:50

7シーターのSUV、アウディQ7に55の番号が振られたPHEVが登場。質感は高いものの、実力ではライバルに分がある様子。英国編集部が評価しました。

3.0L V6ターボとAC同期モーターで380ps

text:Piers Ward(ピアス・ワード)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
2007年、英国の都市部では駐車している大型SUVに偽物の違反切符が貼られるという、笑えないキャンペーンが展開された時期があった。環境負荷を広く知ってもらうためのものだったが、皮肉にもSUVブームが到来。キャンペーンは静かに幕を閉じた。

多くのSUVが街へ現れ、充分なステッカーを用意できなくなったのかもしれない。あるいは今回試乗した、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)のアウディQ7のような、SUVの広がりの影響かもしれない。

アウディQ7 55 TFSIe(英国仕様)
アウディQ7 55 TFSIe(英国仕様)

自動車利用が環境へ与える負荷を、英国でもますます強く意識するようになったことは事実。そんな気持ちに、応えるようなモデルだといえる。

アウディQ7 55 TFSIeに搭載されるパワーユニットは、3.0L V6ターボ・ガソリンエンジンと、8速ATに内蔵されるAC同期モーターの組み合わせ。17.4kWhのリチウムイオン・バッテリーを搭載し、電気の力だけで44kmから48km走れるとうたわれる。

試乗した日は気温が高く、エアコンを使わずにはいられなかった。その結果、駆動用モーターだけで走行できた距離は、満充電で37kmに留まっている。

システム総合での最高出力は380ps、最大トルクは61.1kg-mを獲得。1段パワフルなQ7 60 TFSIeは455psと71.2kg-mだから、その差は大きい。でも、55でも前かがみになって力む必要は感じない。

0-100km/h加速に要する時間は5.8秒で充分瞬足。車重は2450kgもあるのに。

軽くない車重を生んでいる理由が、大きなボディだけでなく、荷室の床下に搭載されるバッテリー。同じQ7でも、V6ディーゼルエンジンのみのクルマは300kg近くも軽い。

アウディらしく上質な車内とパワーユニット

ただし、BMW X5 xドライブ45eや、メルセデス・ベンツGLE 350deといったライバルモデルの車重も同等くらいはある。一方でアウディの方がカタログ上のCO2排出量は多く、英国の場合、税制面ではライバルの方が有利だ。

PHEV化された部分を除けば、基本的に55 TFSIeは2代目のQ7。バッテリーの影響で荷室の容量は865Lから650Lへ狭くなるが、車内の質感やボディパネルのフィット感など、品質はアウディらしく素晴らしい。

アウディQ7 55 TFSIe(英国仕様)
アウディQ7 55 TFSIe(英国仕様)

ダッシュボード中央には、上下に2面のタッチモニターが並ぶことも同じ。違いといえば、ドライブモードにオートとホールドというハイブリッド用の選択肢が増えることくらいだろう。

オート・モードでは、エネルギー効率が最良になるようにQ7が自動的に計算しつつ、目的地まで走れる。ホールド・モードでは、減速時の回生ブレーキを積極的に活用し、バッテリーの充電量を可能な限り保ってくれる。

V6ターボエンジンと、AC同期モーターの連携はシームレス。発進時は駆動用モーターだけで走り始め、バッテリーの残量が足りなくなるか、一層のパワーが必要になるとエンジンが始動。ハイブリッド状態に切り替わる。

エンジンは、ドライバーも気付かないほどひっそりと始動する。滑らかに回転し、モーターがトルクをアシストするような場面でも、感心するほど制御が良い。

駆動用モーターは充分にパワフルで、流れの速い英国の郊外の道も許容範囲。高速道路に合流する場面では、エンジンの力が頼もしい。流れに乗ってしまえば、穏やかな加速程度なら高速道路でもモーターだけで対応できるようだ。

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