【チャーミングな元祖SUV】ジープCJ-7 トヨタ・ランドクルーザー FJ40 2台を乗り比べ 前編

公開 : 2021.07.13 19:15  更新 : 2022.08.08 07:28

実用主義から誕生した、ジープCJ-7とトヨタ・ランドクルーザー FJ40。SUV人気の中で、かつてないほど英国での人気は上昇中のようです。

コレクターズ・アイテムと化したオフローダー

text:Jack Phillips(ジャック・フィリップス)
photo:Max Edleston(マックス・エドレストン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
箱に入ったままの古いミニカーのように、現存する貴重なジープCJ-7とトヨタランドクルーザー FJ40は、英国では大人から特別扱いを受けている。メーカーが開発当初に意図していた利用シーンとは、裏腹なほど。

軍事的な目的のオフローダーとして誕生した2台は、英国ではすっかりコレクターズ・アイテムと化した。最新のトヨタ・ハイラックス三菱L200トライトンが世界中の荒野で汗水を流す中、居心地のいいガレージで余生を過ごしている例も多い。

オレンジのジープCJ-7と、レッドのトヨタ・ランドクルーザー FJ40
オレンジのジープCJ-7と、レッドのトヨタ・ランドクルーザー FJ40

第二次大戦後の日本で過酷な任務に従事していたトヨタの子孫が、現在では雨に濡れることさえ嫌う。雪など、もってのほか。オークションで高値がつくような、極めて状態の良い例の場合だが。

CJ-7以上にFJ40は珍しいが、その価値を理解する英国人も少なくない。実用的な日本生まれのオフローダーには、英国では数の多いランドローバーにはない、特別なクールさが備わっているからだろう。

ジープCJ-7も、日常的に乗れる1台を手に入れたいなら、中古車サイトへ追加されるのを祈りながら待つことになる。純正状態に近い例が見つかれば、またとない幸運に恵まれた証拠。FJ40もCJ-7も、愛好家には垂涎の的なのだ。

認知度としてはCJ-7、というよりジープの方が高く、自動車業界のホッチキスやセロテープみたいなもの。クルマへあまり感心を持たない人にとって、オフローダーのカテゴリーを表現する言葉が、ジープだったりする。

初代ジープとほぼ同じ見た目のCJ-7

今回ご登場願ったCJ-7は1982年式だが、その隣に第二次大戦時に戦っていたウイリス・ジープを並べてみると面白い。基本的なカタチはほぼ同じ。ユーザーがオプションを付けたかどうか、くらいの差しか感じられないかもしれない。

装飾的な処理のない姿は、自動車として求められる機能をそのまま表している。初期の設計から見事に目的へ合致しており、モデルチェンジは必要とされなかった。

ジープCJ-7(1976〜1986年)
ジープCJ-7(1976〜1986年)

1976年に登場した、より民主化されたCJ-7は、先に登場していたロング・ホイールベースのCJ-6より小さい。CJ-5より大きかったが、初代に通じる雰囲気は残されていた。

CJ-7ではホイーベースがCJ-5から10インチ(254mm)伸ばされ、オプションのハイドラマティックと呼ばれる滑らかなATの搭載も可能。クワドラトラックと名付けられた、四輪駆動システムを組める空間も獲得していた。

駆動力が必要なアクスルへV8エンジンのパワーを分配することが可能で、アメリカのオフロードモデルとして高い評価を集めた。ただし、オレンジがかったブロンズカラーのCJ-7の場合、内容はより質素なもの。

低くフラットなフロントノーズに積まれるエンジンは、直列4気筒。トランスミッションも、基本に立ち返る4速MTだ。アメリカン・オフローダーとして、多くの人は少なくとも6気筒を期待するかもしれない。

本来、258cu.in.(4.2L)の直列6気筒が標準仕様。AMC製の304cu.in.(5.0L)V8エンジンも、オプションで選べた。そこへ1980年にポンティアックが提供したのが、151cu.in.(2.5L)のアイアン・デュークと呼ばれる4気筒だった。

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